ユニットバス床開口の復旧とFRP防水・浴槽FRPライニング|再生塗装で一新【施工事例・費用比較】

ユニットバスの床を漏水調査で床を開口した場合…「この後、どう直すのが正解?」と迷っていませんか。
私たちは、開口部をしっかり下地補強→FRP防水→床シート仕上げ、さらに浴槽のひび割れはFRPライニングで補修し、最後に浴室全体を再生塗装でリフォームします。

本記事では、実際の現場写真を交えながら「どんな順番で、どこに気をつけて進めるか」をやさしく解説。短工期で使い勝手を止めない工夫や、施工のポイントも解説。
最後に、入れ替え工事との費用・工期のリアルな比較もご紹介。読後には、「これなら安心して任せられる」と感じていただけるはずです。

目次

施工の背景とご要望の整理

本件は、管理会社さまと設備業者さまでの漏水確認・原因特定が完了した段階からのご依頼です。

私たちは「開口部の復旧とFRP防水」「浴槽ひび割れのFRPライニング補修」「浴室全体の再生塗装」「床シート仕上げ」を担当し、短工期で再発リスクを抑えつつ見た目と機能を回復させる方針で進めます。

復旧・防水・補修の範囲

漏水箇所の特定・一次対応(配管補修など)は管理会社さまと設備業者さまで完了しているため、当社の担当は「開口後の復旧と長期的な止水・美観回復」に絞られます。具体的には、

  • 床開口部まわりの下地補強
  • FRP防水による新規の防水層形成
  • 浴室用床シート(バスナリアルデザイン)への仕上げ
  • バスタブのひび割れに対するFRPライニング補修
  • 天井・壁・浴槽を含む浴室全体の再生塗装(下地調整~上塗り)

までを一貫対応します。

浴槽のひび割れの補修方針

H2 浴槽のひび割れの補修方針(FRPライニング採用)

今回のクラックはヘアラインレベルのため、厚みを抑えながら強度を戻せる「ガラスクロスによるFRPライニング」で対応します。マットは使わずクロスのみとすることで、段差や肉やせを最小化し、曲面になじむ自然な仕上がりを狙います。補修後は浴槽全体の再生塗装で色を統一します。

これにより、見た目の違和感を抑えつつ、日常の温冷サイクルにも追従する耐久性を確保。短工期で再発リスクを低減し、使用再開の目安も立てやすい方針です。

入れ替えではなく再生工事を選ぶ理由(コスト・工期・稼働影響)

今回は、賃貸物件でご入居中のケースなので、短工期・低コスト・産廃削減が最優先。

ユニットごと入れ替えると、解体・搬入出・給排水の付帯工事が重なり、コストも工期も一気に増えます。
再生工事なら、床は開口復旧+FRP防水+床シートで安全性と清掃性を確保し、浴槽はFRPライニングで強度回復、仕上げに再生塗装で新品同等の見た目へ。

ご入居者様のご負担を最小限に抑えつつ、見た目・機能・耐久のバランスを高められるため、本件は「再生」を最適解としてご提案しています。

現地調査のポイントと判定基準

確実な工事のために、現地調査は欠かせません。
とくに今回のように防水が関わるケースでは、事前の確認精度がそのまま仕上がりと耐久性につながります。

以下では、工事の成否を左右するチェックポイントを、判断基準とあわせて整理します。

開口部復旧に向けた強度評価と下地補強計画

開口部まわりは強度が落ちやすいため、まずは開口縁のたわみ・割れの進行の有無、床全体の剛性を触診・荷重テストで確認します。

次に、スラブ(鉄筋コンクリート床)からユニットバス床までのクリアランスを計測し、必要なプラ束の種類・本数・配置を計画します。

今回は開口時に取り外したFRP片が良好な状態で残っているため、再利用を前提に、周囲の下地補強と組み合わせて面の連続性と荷重の受けを確保する方針です。

浴槽内のひび割れ状態の確認

ヘアークラックは見逃しやすいため、LEDライトを斜めに当てて細かな線まで見えるように確認しました。
あわせて軽く押してたわみや強度低下はないと判断できました。
以上を踏まえ、今回はガラスクロスによるFRPライニングで十分に対応可能としました。

ユニットバス浴槽底面のヘアークラックと汚れのアップ
浴槽底面のヘアークラック。汚れが目立つ補修前の状態

その他漏水の可能性箇所の調査

壁出し水栓やシャワーフックの取付部は、錆びやグラつき、周囲のシーリング切れを重点的に確認します。
デッキ水栓の場合はカウンターとの取り合いや周辺の微細なひび割れも見逃さず、各箇所の入隅のシール状態も合わせてチェックします。

今回はこれらの箇所に大きな問題はありませんでしたが、壁面の点検口にひび割れを確認しました。
劣化が進んでおり、プラスチック自体の強度に不安があったため、点検口はパネルを用いて新調する方針とし、安全性とメンテナンス性を優先して計画を見直しています。

床開口部の復旧工程


床開口の復旧は、防水と強度の“土台づくり”です。開口周りの劣化を見極めて下地を補強し、再利用するFRP片を確実に固定したうえで、FRP防水で面としての止水性を確保します。排水勾配や端部の納まりまで整えてから、次工程(床シート・塗装)へ進みます。

支持束の設置と下地合板の新設

床開口部にプラ束で支持した当て木と下地合板の組み込み
開口部に支持束と当て木を組み込み、ビスの効く下地を作ります

開口部で劣化した合板を撤去したのち、まずスラブ高を計測してプラ束を適正高さにセットし、荷重を受ける“足”を作ります。

次に、受け桟となる当て木(耐水性のある構造用合板)を組み込み、ビスが確実に効く新しい下地を形成します。

これにより、再利用するFRP片はエポキシ系接着+ビス固定で確実に一体化でき、支持束・補強合板・FRP片が一体で荷重を受ける強固なベースが完成します。

水平・勾配を最適化して、次工程の防水や床シートが安定して支えられる下地に整えます。

開口部の成形と段差処理

再利用したFRP片を開口部にビス固定した状態
FRP片を仮合わせ後に本固定。段差ゼロを狙ってレベル調整済み

先ほど整えた下地にFRP片を仮合わせし、廻りのレベルと排水勾配を細かく確認します。

束の高さ調整で微調整し、段差がゼロになるまで合わせ込みます。
ここで少しでも段差が残ると、後のFRP防水で余計な膨らみが生じ、見た目や水切れに影響します。

仮組みが問題なければ、FRP片をエポキシ系接着剤とビスで本固定します。

固定後、継ぎ目・ビス頭・周辺部を面取りして足付け研磨し、脱脂まで行って防水層の密着を高めます。最後にレベルと排水方向を再チェックし、次工程のFRP防水へ進みます。

FRP防水の実施

開口部を含む床面をFRP防水で3層積層した状態
FRP防水で防水性と強度を確保

防水範囲を脱脂材で洗浄し、溶剤で確実に脱脂します。

浸透型プライマーを均一に塗布して密着を高め、硬化タイミングを見計らってチョップドストランドマットを割付けます。

ポリエステル樹脂をローラーで含浸し、継ぎ目は先行で増し貼り。
補強が必要な部位を2層、最後に一回り大きいサイズで1層重ね、合計3層で強度と防水性を確保します。

積層中は脱泡ローラーで気泡を徹底的に除去し、表面をなるべくなだらかに整えます。

強制乾燥で実硬化させたのち、段差や不陸が消えるまで研磨して、次のパテ処理に繋げるフラットな下地を整えます。

パテ処理での平滑化

FRP防水面を研磨しカーボンパテとエポキシパテで平滑化した床
研磨後にカーボンパテでフラット化し、エポキシで細部を整えた

研磨を終えても、微妙な段差や不陸は残ります。

そこで、まずカーボンパテ(カーボンファイバー配合のポリエステルパテ)で“面”をつくり、剛性と収縮安定性を確保しながら段差を均します。

今回はFRP防水をかけない周辺部も、最終の床シートが段差を拾わないよう、既存のノンスリップを同時にカーボンパテでフラット化。

成形後は番手を上げて研磨し、細部の歪みや段差はエポキシパテで仕上げ調整します。

これにより、次工程の床シート施工が均一に密着する、平滑で連続した下地が完成します。

浴槽のひび割れ補修

ヘアークラックに対しては、厚みを抑えつつ強度を回復できるガラスクロス積層が最適です。今回はマットは使わず、ガラスクロスのみで“薄く・強く”補強します。

FRPライニングの作業手順

  1. 割れ範囲を鉛筆でマーキング
  2. 水垢や石鹸カスを洗浄して除去
  3. 周囲を足付け研磨します(#240〜320、割れ周囲は80〜100mm程度大き目に確保)
  4. 溶剤で脱脂
  5. ガラスクロスを必要サイズに裁断します(繊維方向をクラックに対して調整)。
  6. 樹脂を含浸させ、1〜2プライで積層します。
  7. 気泡を確実に脱泡
  8. 硬化後、研磨
  9. 研磨後はパテで面や段差を整えます。
  10. 密着プライマー塗布後、上塗りで仕上げます
浴槽底面のFRPライニング補修直後のアップ(ガラスクロス使用)
ヘアークラックをガラスクロスでライニング。薄く強く補強
FRPライニング部を研磨しエポキシパテで仕上げ調整した浴槽アップ
研磨とエポキシで最終調整。塗装準備が整った

浴室再生塗装の工程

STEP

養生・マスキング

廊下、脱衣所を養生してミストの付着を防ぎます。排気ダクトもこの段階でセットします。

養生した廊下
搬入動線までしっかり養生し、粉じんと傷を防止
塗装用排気ダクトの設置完了状態
排気ダクトをセットし、ミストと臭気の管理を最適化
STEP

下地処理

全体を足付け研磨→粉じん除去→脱脂。ピンホールや微細な傷等はエポキシパテで調整します。

研磨機と集じん機のセット 研磨粉対策
集じん一体の研磨で粉じん拡散を抑え、仕上がりを安定させる
脱脂作業中の様子
密着不良を防ぐため、塗装前に徹底脱脂
STEP

養生

塗装対象外の照明器具・水栓金具・ドア枠・床シート張り付け予定部をマスキングテープやマスカーで確実に覆い、ミストや付着を防ぎます。
換気の流れは確保しつつ、開口部や排水口も粉じん逆流を防ぐよう丁寧にマスキングします。

水栓金具と照明器具の養生完了 マスキング状態
塗装対象外を丁寧にマスキングし、ミスト付着を防ぐ
浴室内全体の養生完了 全面マスキング
全面養生が完了。この後、下塗りから上塗りへ進む
STEP

プライマー

素材に適した下塗りで密着性と質感を高めます。
今回は天井・壁・浴槽・洗い場床のすべてがFRPで、表面劣化も軽微だったため、浸透型プライマーを採用しました。
これにより上塗りの吸い込みを抑えられ、色ムラを防ぎつつ、最終仕上げの質感が一段と整います。

STEP

上塗り(トップコート)

浴槽用特殊樹脂塗料(2液性ポリウレタン)でカラーコーティング。
吹付けは薄く何層も塗り重ねていき、最後にタレや流れに注意して光沢が出るように厚く吹きます。

STEP

乾燥

赤外線ヒーター等を使用して、強制乾燥させます。

STEP

仕上げ

塗膜には微細な異物が若干付着するので、異物処理をしてバフ掛けを行って塗装工程は完了です。

塗装後の天井と壁 高光沢で均一な仕上がり
天井・壁が艶やかに均一仕上げ。明るさと清掃性が向上
薄いアイボリー色の光沢仕上げ 浴室全景
薄いアイボリーで統一。やわらかな艶で新品同等の印象

浴室床用シート(バスナリアルデザイン)の施工

  1. 下地最終確認(清掃・脱脂・乾燥)を行います。
  2. シートを仮敷きして割付を決め、排水口まわりは先に正円でくり抜きます。
  3. 耐水の専用ボンドをくしベラで均一に塗布し、規定のオープンタイムを確保します。
  4. 端基準からズレないようにシートを貼り込み、中央→外周へ空気を逃がします。
  5. ゴムローラーで全体を転圧し、入隅・端部は手圧で増し押さえして密着を高めます。
  6. 端部と排水口まわりを専用シーリング材でコーキング。
床シート施工前の下地 完了(補強・FRP防水・パテ済み)
床は補強・FRP防水・パテが完了し、シート貼り待ちの状態
バスナリアルデザインを施工した床面のディテール
バスナリアルデザインを均一に圧着。端部・排水廻りも美しく納まった

施工写真ギャラリー

それでは、浴室全体の施工前と施工後をご覧ください。

施工前の浴室 床に大きな開口 点検口の破損あり
施工前
床の大開口と割れた点検口が課題
施工後の床 バスナリアルデザイン施工 点検口を新規パネルで更新
施工後
床は新しいシート、点検口もパネルで新調
施工前の浴室全景 床開口と全体的な黄ばみ
施工前
全体に黄ばみがあり、清潔感に欠ける状態
施工後の浴室全景 薄いアイボリーとバスナリアルデザインの調和
施工後
薄いアイボリーと床柄が調和し、明るく上質な印象
再掲 浴槽底面のヘアークラックと汚れのアップ(補修前)
施工前
浴槽底面のヘアークラック。汚れが目立つ補修前の状態
FRPライニングで補修し高光沢に仕上がった浴槽アップ
施工後
FRPライニング後に全体塗装で高光沢仕上げ。
ひびの痕跡が全く分からないレベル
スクロールできます
項目内容
場所大阪府大阪市北区
課題床の開口部の防水、バスタブのひび割れ、全体的な黄ばみ
実施内容床開口部のFRP防水及びバスナリアルデザインの施工
バスタブ内はFRPライニング補修、全体を特殊樹脂塗料でカラーコーティング
効果床面は防水性と強度がアップした上に、シートを張る事で意匠性向上。
浴室全体は明るいアイボリーで清潔感のある明るい仕上がり。
工期3日

再生塗装とユニットバス入れ替えの比較

再生塗装と入れ替えは、予算・停止日数・発生廃材の考え方が大きく異なります。
ここでは初期費用から工期、環境負荷、10年視点の総額までを並べて比較し、ご状況に合う選択肢を短時間で判断できるよう表でまとめます。

比較項目再生工事(開口復旧+FRP防水+浴槽FRPライニング+全体塗装+床シート)入れ替え(ユニット本体交換一式)備考
初期費用(税込目安)35万〜45万円80万〜150万円超入れ替えは解体・処分・搬出入・給排水/電気の付帯工事で増額しやすい
工期・停止日数3日程度5〜10日程度再生は乾燥/硬化管理込みでも停止短め。入れ替えは共用部養生・騒音制約の影響あり
産廃量・搬入出負荷少ない(養生材・端材が中心)多い(既存ユニット解体で大量)入れ替えはエレベーター占有・近隣騒音など管理コスト増
品質・見た目新品同等の統一感(色艶を全体で合わせる)新規ユニット仕様に準拠再生はデザインの自由度は限定的だが既存に調和しやすい
稼働影響(ホテル/賃貸/民泊等)小さい中〜大停止日数と騒音・動線の影響度合い
環境負荷低い高い産廃・搬入出回数の差による
向いているケース短工期・低負荷・コスト重視、既存活かしたい間取り/設備の大幅更新、仕様を全面刷新したい判断の目安

短工期・低負荷で費用対効果を重視するなら再生工事、間取り変更や設備改修を伴う大規模更新なら入れ替えが有利、という事になります。

まとめ

今回の事例では、「床開口の復旧→FRP防水→床シート仕上げ」「浴槽ヘアークラックのFRPライニング」「浴室全体の再生塗装」を、短工期で一気通貫に進めました。
開口部は支持束と下地を新設して再利用FRP片を確実に固定、荷重に十分に耐える構造に整えたうえでFRP防水で止水性を確保。
床はバスナリアルデザインで意匠性と清掃性を高めています。

浴槽のひび割れは、ガラスクロスのみのライニングで“薄く・強く”補強。
補修後は全体塗装で色艶をそろえ、補修跡の違和感をなくしました。
天井・壁・浴槽を同一トーン(薄いアイボリー)でまとめることで、明るく清潔感のある空間に刷新できています。

現地調査では、開口部の強度評価、スラブ〜床のクリアランス測定、端部や排水まわりの納まり確認を丁寧に実施。
さらに点検口の劣化を見つけて新調するなど、再発リスクを抑える判断を随所に盛り込んでいます。
こうした“前工程の精度”が、仕上がりと耐久性を左右します。

費用・工期の面では、再生工事は目安35万〜45万円、工期は約3日。入れ替えに比べて停止日数や産廃を抑えつつ、見た目と機能をしっかり回復できます。稼働を止めにくい賃貸・ホテル・民泊や、コストを抑えたい個人宅にとって現実的な選択肢です。

「とにかく早く使えるようにしたい」「入れ替えほどのコストはかけられない」「でも見た目と耐久は妥協したくない」——そんなご要望に、今回の手法はまっすぐ応えます。漏水後の開口復旧や浴槽のひび割れでお困りでしたら、まずは現地確認からお気軽にご相談ください。最適な工程と期間、明確な見積もりでご提案いたします。

ユニットバスの交換・塗装・補修に関するよくある質問(FAQ)

  • 目安は3日程度です。工事完了の翌日夕方からご入浴可能です。

  • 床面の補修箇所は床シート仕上げなので全くわかりません。浴槽のヘアークラックはガラスクロスで薄く補強し研磨しているため、よく見ても分からない自然な仕上がりです。

  • 施工中は排気ダクトで臭気を管理します。工事完了後は比較的早くにおいは気にならなくなります。

  • 使用状況によりますが、10〜15年は問題なくご使用いただけます。

  • 可能です。床開口復旧&シートのみ/浴槽ライニングのみなど、ご予算に合わせて柔軟に対応します。

  • 塗装色は基本7色(オプションカラーあり)から選択可能。床シートはバスナリアルデザイン(10柄)をおすすめしていますが、バスナフローレや他メーカーにも対応しています。

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この記事を書いた人

株式会社ビューティーメイク 代表取締役
水廻り再生リフォーム歴32年

日々、浴室・浴槽塗装、キッチン塗装等、パネル・シート施工等、水廻りの再生リフォームを研究しております。
少しでも皆様に再生リフォームを知っていただく為、わかりやすくお役に立てる記事を書いていきます。
水廻り再生リフォームに、ご不安やご不明な点、ご質問があれば
お気軽にご相談下さい。

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