ホーロー浴槽の基礎ガイド|塗装と交換の違いを押さえて、費用も工期もお得に

ホーロー浴槽は、金属下地(鋼板・鋳物)にガラス質を焼き付けた高耐久で高級な浴槽です。
深みのある独特な艶と清掃性に優れる一方、欠けやサビの発生、交換の難しさなど特有の課題もあります。

本記事では、ホーロー浴槽の材質を基礎からやさしく解説し、FRP・人工大理石・ステンレスとの違いを実用目線で整理します。さらに、交換リフォームが適しているケースと費用・工期の考え方を示したうえで、
入れ替えずにお得に再生できる「塗装」という選択肢を、現役施工者の経験にもとづいて具体的にご紹介します。

時間がない方へ|この記事の要点まとめ(ホーロー浴槽×素材比較×交換×塗装)
  • ホーロー浴槽は金属下地にガラス質を焼き付けた構造で、艶と清掃性が高い
  • FRPは軽量・安価、人工大理石は高級感、ステンレスは耐久性が強み。目的や予算で選ぶ
  • 交換が向くのは、広範囲のサビがある場合や浴槽サイズや形状を機能的に変更したい場合
  • 交換は、解体→配管調整→据付→復旧の多工程。費用は本体+工事で数十万円〜、工期は数日〜が目安
  • 入れ替えずに再生するなら塗装。ザラつき・艶引け・初期サビの回復に適し、短工期・廃材削減でコストを抑えやすい
  • 塗装の目安は費用12〜20万円、工期最短1〜2日
素材比較→交換or塗装を
すぐに判断!
目次

ホーロー浴槽とは|材質と構造(鋼板ホーロー/鋳物ホーロー)

ホーロー浴槽は、金属の下地(鋼板または鋳鉄)にガラス質の釉薬を高温焼き付けした構造です。表面はガラス質なので非常に硬く、汚れ・薬品・色移りに強いのが特長。キッチンのホーローパネル同様、清掃性と艶感に優れる高級素材です。

  • 鋼板ホーロー…薄い鋼板にガラス質を焼き付け。軽量で施工しやすいが、ガラス層が薄く(約0.2mm) 欠けからサビが進行しやすいことが課題。
  • 鋳物ホーロー…鋳鉄にガラス質を焼き付け。ガラス層が厚い(約1mm)ため欠けにくく耐久性が高いが、非常に重く費用も高めです。

よくある劣化症状

  • 表面のザラつき・艶引け(釉薬の微劣化)
  • チッピング(欠け)からのサビ発生
  • 鋼板タイプは裏面からの腐食が進み、表面にサビ浮き・穴あきが出ることもあります。

他の浴槽素材(FRP/人工大理石/ステンレス)と比較

ホーロー浴槽は高級感と清掃性が特長です。他素材との違いを知っておくと、安心して比較・検討ができます
違いがひと目で分かるよう、要点を早見表にまとめました。

まずは全体像を一緒に確認しましょう。

素材比較(概要)

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項目ホーロー(鋼板/鋳物)FRP人工大理石(アクリル/ポリエステル)ステンレス
表面特性ガラス質で硬く汚れに強い・高光沢樹脂系。
軽量・成形自由度高
樹脂+無機材。艶・高級感(特にアクリル)金属光沢・耐久性に優れるが質感の好みが分かれる
重量鋳物は非常に重い/鋼板は軽め軽い中程度中程度
価格帯(本体)高め(鋳物>鋼板)安価~中中~やや高(アクリルはやや高価)比較的安価
保温・体感鋳物は蓄熱性中~やや高
塗装との相性難易度高(要エッチング/専用プライマー)良好(下地処理で安定)(アクリルはプライマー選定が重要)難易度高(密着管理がシビア)
交換のしやすさ鋳物は搬出入が大変しやすい

「交換リフォーム」を選ぶべきケースと基本知識

交換が適している主な状況

  • 広範囲の裏錆・穴あきで強度低下が疑われる
  • 浴槽サイズ・形状・段差を機能的に変更したい
  • お風呂全体(床・壁・天井)を断熱改修/バリアフリーに合わせてリフォームしたい

交換時の工事範囲(在来浴室の一例)

  1. 解体(浴槽撤去、必要に応じて土間・タイル)
    • 既存浴槽を撤去。土間・タイルの解体も必要なので騒音・粉じんが発生
  2. 配管調整・下地補修
    • 給排水・循環金具は新浴槽基準で位置・高さを調整。腐食・漏水はここで補修/交換。床勾配・下地不陸は後工程の防水・納まりに直結
  3. 新浴槽の搬入・据付
    • 搬入経路を事前確認。鋳物など重量物は人員確保。水平・高さ・壁際のクリアランスを微調整して据え付け
  4. 周囲の下地・タイル復旧
    • 縁まわりと壁取り合いをタイルで割付・段差に注意して復旧
  5. コーキング・通水試験・仕上げ
    • コーキングは十分に硬化養生。通水・漏水・排水速度を確認し、最終清掃で完了

費用目安と所要期間

・浴槽本体価格(材質別の相場例)

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材質本体価格の目安
ホーロー(鋳物>鋼板)15万~100万円
人工大理石(アクリル>ポリエステル)5万~80万円
FRP4万~35万円
ステンレス6万~25万円

※上記は本体価格の相場例です。仕様・サイズ・搬入条件により変動します。

  • 交換工事費:4万~20万円(搬出入難易度・復旧範囲で上下)
  • ユニットバスごと交換の場合は80万~200万円前後が目安(グレード/付帯工事で変動)

補足:在来浴室は解体量と復旧範囲が費用に直結します。特に鋳物ホーローは搬出入の問題や補強が必要な場合があり、総額が上振れしやすい点に留意ください。

入れ替えずに「お得に」再生|ホーロー浴槽の塗装という選択

交換の半額以下で済むケースが多いのが塗装による再生です。廃材削減・短工期で、営業停止や生活への影響を最小化できます(ホテル・賃貸にも好相性)。

塗装が向いている症状

  • 表面のザラつき・黄ばみ・艶引け
  • 欠け・軽度なサビ(要適切補修)
  • 美観改善・清掃性向上を短工期で実現したい

注意が必要/向かない症状

  • 広範囲の裏錆・貫通穴で構造強度が低下している
  • 追い焚き配管まわりの腐食が高度(安全優先で交換検討)

※可否は現地診断で判断します。鋼板・鋳物の状態差により下地工程が大きく変わります。

施工の流れ(当社標準)

  1. 素材・劣化診断/マスキング・養生
    • 劣化状況を確認。作業通路や荷物置き場を養生
  2. 下地処理:ダイヤモンドペーパー/エッチングで足付け(通常ペーパーは不可)
    • ホーローは表面が非常に硬いため、通常ペーパーでは足付け不足に。
      ダイヤモンドペーパー/エッチングで微細に荒らして密着を確保。
  3. サビ除去・成形:機械研磨→エポキシパテで平滑出し→必要に応じ錆転換/メッシュ補強
    • 除錆→機械研磨→エポキシ系で平滑出し。腐食が進む部位は錆転換やメッシュ補強を併用。
  4. 洗浄・脱脂:
    • 流水で洗浄→溶剤で脱脂(脂分を除去)
  5. プライマー:ホーロー専用を選定(密着の要)
    • ホーロー専用(エポキシ系)を使用。プライマー選定が密着のカギ。
  6. 上塗り:ホーロー浴槽用特殊樹脂塗料を吹付け(艶・肌合いを均一に)
    • 吹付けで肌合いと艶を均一化。養生と換気を徹底し、塵の混入を最小限に
  7. 硬化・検査:膜厚・艶・手触りを最終確認
    • 強制乾燥→仕上げ。最終確認は徹底的に
      工期の目安:通常1日~補修が必要な場合は最大2日

費用相場(ホーロー浴槽塗装)

  • 補修の必要がない場合:12~15万円
  • 補修が必要な場合:15~20万円

※一般的な相場です。浴槽のサイズや補修の度合いで価格は変わります。

長持ちさせるコツ(ご使用上のお願い)

  • 研磨剤入りのクリーナー・金属タワシ・メラミンスポンジは使用NG
  • 入浴後は夜間もしくは朝の選択終了時に水を抜いておく

素材別のメリット・デメリット(要点整理)

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材質メリットデメリット
ホーロー(鋼板/鋳物)表面が硬く清掃性に優れる・鏡面の高級感耐薬品性・耐久性が高い(特に鋳物)鋳物は蓄熱性が高く湯温が冷めにくい(鋳物)重量・価格が高め(鋼板)欠け・裏錆が出ると補修難度が上がる塗装難易度が高い(専用下地・プライマーが必須)
FRP軽量・比較的安価で成形自由度が高い塗装適性が良好で再生しやすい小傷・色ムラが出やすい美観の持続は素材グレード次第
人工大理石(アクリル/ポリエステル)高級感(特にアクリル)と上質な艶硬度があり汚れにくいアクリルはプライマー選定が重要で塗装難度やや高。価格帯が広く、条件により高額になることも
ステンレス錆びにくい・耐久性が高い劣化しても補修量が少ない場合が多い塗装の密着管理がシビア(プライマー必須)金属質感の好みが分かれやすい

施工事例|ホーロー浴槽の塗装でここまで変わる

写真付きの詳しい事例は、施工例ページInstagramで随時更新しています。ここでは、よくご相談をいただくパターンを中心に、施工例を紹介します。ご検討時の参考にしてみてください。

サビが発生している鋳物ホーロー浴槽

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項目内容
場所大阪府
課題複数箇所でサビが発生し、全体に強いざらつきがある
実施内容下地処理(腐食部の研磨・除錆)→エポキシ系充填→ホーロー浴槽用厚塗りプライマー→専用トップコートで浴槽全面を塗装
効果清潔感のある純白に再生。サビ痕を解消し、鏡面の艶となめらかな肌合いを取り戻した
工期1日半(乾燥・最終検査を含む)
施工前のホーロー浴槽。サビが広がり、写真でも分かるほど表面がザラついている
施工前
サビが各所に発生し、表面はザラつきが強い状態だった
施工後のホーロー浴槽。真っ白で光沢があり、サビ痕が見当たらず滑らかな表面に仕上がっている
施工後
真っ白に均一な艶。サビ痕も消え、なめらかな肌合いに仕上がった
施工前のホーロー浴槽。過去のサビ補修跡が残り、その周囲から赤錆がにじみ出ている
施工前
過去の補修跡が残り、継ぎ目から赤錆がにじんでいた。
施工後のホーロー浴槽。補修跡が見えず、面が整い白く光沢のある仕上がりになっている
施工後
補修跡が完全に消え、面が整い純白の艶に統一された

変色している鋳物ホーロー浴槽

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項目内容
場所大阪府堺市
課題喫水線に沿う変色と、浴槽全体のざらつき
実施内容下地処理後、ホーロー浴槽専用プライマー→専用トップコートで浴槽全面を塗装
効果温かみのあるアイボリーが均一に復活。変色は解消し、手触りはなめらかに
工期1日(乾燥・最終検査まで含む)
施工前の鋳物ホーロー浴槽。喫水線で変色し、表面がガサガサで艶がない状態
施工前
喫水線に沿って変色した鋳物ホーロー浴槽。表面のザラつきが強く、艶引もなくなっている
施工後の鋳物ホーロー浴槽。アイボリー色で変色がなく、光沢があり滑らかな表面に仕上がった状態
施工後
アイボリー色が均一に復活。変色を解消し、鏡面の艶とすべすべの手触りに仕上がった。

光沢を失った鋳物ホーロー浴槽

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項目内容
場所兵庫県西宮市
課題表面の光沢低下とカサつき。エプロン部の経年劣化が目立ちます。
実施内容下地処理(旧汚れ・劣化塗膜除去/足付け・脱脂)→エプロンに補強下地パネルを施工→ホーロー浴槽専用プライマー→専用トップコートで全面塗装
※カウンターと窓枠も同色で塗装
効果オフホワイトで統一し、柔らかく温かみのある仕上がりになりました。カサつきが解消し、手触りはすべすべになりました。
工期2日(乾燥・最終検査まで含みます)
施工前のホーロー浴槽。全体の光沢がなくくすみ、エプロン部の劣化が目立つ
施工前
光沢がなくくすんだホーロー浴槽。エプロン部の劣化が進んでいた
エプロンに下地パネルを施工しオフホワイトで塗装したホーロー浴槽。カウンターと窓枠も同色で統一され一体感が出た
施工後
エプロンに下地パネルを張りオフホワイトで塗装。カウンターと窓枠も同色で統一し、一体感が出た。
施工前のホーロー浴槽。光沢が失われてくすみ、エプロン部の劣化が見て取れる
施工前
光沢が失われ、くすみが目立つ状態。エプロン部の劣化も確認できた
施工後のホーロー浴槽。柔らかい印象のオフホワイトで塗装され、明るく清潔な雰囲気に仕上がっている
施工後
柔らかい印象のオフホワイトで塗装。浴室全体が明るい印象に仕上がった

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施工事例ページ、料金ページもご覧になってください👇

交換 vs 塗装|どう選ぶ?

交換か塗装で迷われたときは、まず浴槽の状態とかけられる時間・費用、そして変えたい機能の有無で考えると分かりやすいです。

目安としては、
・サビの劣化がひどい/サイズや段差を変えたい → 交換
・見た目や手触りを短工期でリフォームしたい → 塗装がおすすめです。

以下では、安全性・構造機能変更の必要性予算・工期営業や生活への影響の4つの軸で、現場での決め方をやさしくご案内します。迷ったら、現地診断で一緒に最適解を確認しましょう。

安全性・構造から考える

  • 交換が向く例:広範囲の裏錆・貫通、底面のたわみ、ガタつき、循環金具まわりの腐食が大きい、漏水の疑いがある。
  • 塗装が向く例:表層の劣化(ザラつき・艶引け・変色・小さな欠け)、初期サビ、手触りや見た目の回復が主目的。
  • 不明な場合は専門業者に相談する事をおすすめします。

機能変更の必要性から考える

  • 交換が向く例:サイズ・形状を変えたい、またぎ高さを下げたい、手すりや断熱浴槽など機能を大きく変える計画がある。
  • 塗装が向く例:色・艶・清掃性を整えたい、印象を明るくしたい、既存レイアウトはそのままで美観と使い心地を改善したい。

予算・工期から考える(目安)

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選択肢目安費用目安工期
浴槽のみ交換(在来)本体+工事で数十万円〜3日〜(解体・復旧含む)
ユニットバスごと交換80〜200万円前後3〜10日(規模・付帯工事で変動)
ホーロー浴槽の塗装12〜20万円1〜2日(乾燥・検査含む)
※現場条件・劣化度・搬入経路により上下します

営業や生活への影響から考える

  • 法人(ホテル・賃貸・管理物件):交換は停止期間が長くなりやすい一方、塗装は短工期で運用を止めにくいのが利点です。
  • ご家庭:交換は複数日の在宅対応が必要になりがち。塗装は当日〜翌日の入浴制限を見込めば、生活影響を抑えやすいです。
  • 臭気・騒音:どちらも養生・換気・工程管理で軽減します。事前に作業時間帯・乾燥時間をすり合わせておくと安心です。

迷ったらこの順で決めましょう

  • ① 現地診断:安全性・構造(裏錆・強度・配管)を点検。
  • ② ご要望整理:機能を変えるか/見た目を整えるかを明確に。
  • ③ 両案比較交換案塗装案の費用・工期・影響を並べて検討。
  • ④ 工程計画:工期や入浴再開タイミングまで含めてスケジュール化。

まとめ

  • 素材の本質:ホーローは金属+ガラスで艶・清掃性に優れます。欠けやサビは早めの対処が安心です。
  • 判断基準:ひどいサビやサイズ変更など機能を変えるなら交換、見た目・手触りの回復なら塗装が効率的です。
  • 目安感:交換は数十万円〜(ユニットごとで80〜200万円前後)、塗装は12〜20万円/通常1日、最大2日です。
💡「安全性」→「機能変更の必要性」→「見た目・清掃性」の順で優先順位を決めると迷いにくくなります。
  • 安全性に不安がある(広範囲の裏錆・貫通・漏水の疑い)
    • 交換を第一候補にします。
  • サイズ・形状・またぎ高さを変えたいなど機能変更が目的
    • 交換が適しています。
  • 艶・色・手触りを整えたいなど美観回復が目的
    • 塗装が有力な選択肢です。

判断に迷う場合は、本文の比較表・費用目安・事例を参照しながら色々と比較検討してください。
必要に応じて、専門業者に現場調査を依頼して、状況とコスト面を確認すると安心です。

ホーロー浴槽の塗装・再生に関するよくある質問(FAQ)

  • 適切な下地処理(足付け・脱脂)とホーロー専用プライマー、ホーロー浴槽用塗料を使用すれば、10年以上の美観維持が目安です。剥がれは下地不良で起こりやすく、施工手順と日常ケアで大きく差が出ます。

  • 追い焚きは可能で、まったく問題ありません。しかし、業者によっては対応していない場合もあるので、事前にしっかり確認してください。

  • サビは除錆+エポキシライニングで補修後、塗装で再生できます。広範囲の裏錆・貫通・強度低下がある場合は交換がおすすめです。

  • 標準1日、最大2日(補修の程度によります)。入浴再開は塗装完了の翌々日以降が目安です。

  • ホーロー浴槽の全面塗装は12〜20万円が目安です。浴槽のサイズ、補修の有無で上下します。

  • 現場で調色可能なので、ご希望の色で塗装できます。

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担当スタッフが丁寧にご案内いたします。

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この記事を書いた人

株式会社ビューティーメイク 代表取締役
水廻り再生リフォーム歴32年

日々、浴室・浴槽塗装、キッチン塗装等、パネル・シート施工等、水廻りの再生リフォームを研究しております。
少しでも皆様に再生リフォームを知っていただく為、わかりやすくお役に立てる記事を書いていきます。
水廻り再生リフォームに、ご不安やご不明な点、ご質問があれば
お気軽にご相談下さい。

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