在来浴室の再生リフォームで快適に|短工期・低コストの塗装・壁パネル・床シート

在来浴室を「解体・入れ替え」せず、既存を活かして見た目と機能をよみがえらせるお風呂の再生工事のご案内です。塗装・パネル上貼り・化粧シート・床シートを組み合わせ、短期間・低コストで課題を解決します。

📌次のような内容を専門家がわかりやすく解説していきます
▼再生工事の特長
  • 短工期・無解体:解体不要、工期が短い
  • 低コスト:入れ替えに比べて圧倒的低コスト
  • 形状対応力:間口が狭い・複雑形状などにも対応
▼主な工法(用途に合わせて選べます)
  • 浴槽の再生塗装(変色・キズ・艶の回復)
  • 壁のパネル上貼り(目地減少・断熱性向上)
  • 浴室床用シート(防滑・やわらかさで安全性を強化)
▼こんなお悩みにおすすめです
  • ユニットバスの搬入が難しい、または解体を避けたい
  • 予算を抑えつつ、見た目と清掃性・安全性を改善したい
▼この記事でわかること
  • 工法別の選び方と向いているケース
  • 費用と工期の目安
  • メンテナンスのポイント
目次

在来浴室とは

在来浴室は、現場で壁・床・天井・浴槽を個別に造作して仕上げる昔ながらの工法で作られたお風呂のことです。

タイルやモルタル、コンクリートなどの下地構成を活かしながら手を入れられるため、部分リフォーム・段階的な再生工事との相性が良いのが特長です。

ユニットバスのような規格サイズに縛られず、間取りや開口寸法、梁・柱・曲面などにも柔軟に対応できます。

在来浴室
一般的な在来浴室

構造と作りの基本(タイル・モルタル・コンクリート)

  • 🧱 下地構成: 躯体(RC※鉄筋コンクリート造・ブロック)→モルタル下地→仕上げ(タイル・塗装など)の層で成り立ちます。
  • 💧 防水: 現場で行うモルタル防水や塗膜防水が中心で、施工品質と経年が耐久性に直結します。
  • 🔷 仕上げ材: 壁・床のタイル、左官仕上げ、塗装など素材の自由度が高く、デザイン調整が可能です。
  • 🛁 浴槽素材: FRP/人造大理石/ホーロー/ステンレスなど多彩で、サイズも柔軟に選べます。

ユニットバスとの違い

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比較項目ユニットバス在来浴室
施工方式工場製部品を現場で組み立てる規格工法現場造作で柔軟に設計・施工できる
寸法自由度規格寸法が基本。空間制約があると適合しない場合あり非定型サイズ・変形空間・梁欠き・曲面にも対応しやすい
メンテナンス性継ぎ目が少なく掃除しやすい目地・コーキングの維持管理が重要
体感性能断熱一体構造で寒さを感じにくいことが多い下地・断熱状態により冷えやすい場合あり(断熱パネル・床シートで改善可)

在来浴室で起こりやすい課題

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課題カテゴリ主な症状再生工事の方向性(例)
衛生・清掃性目地のカビ・黒ずみ、排水まわりの水垢壁パネル/壁シートで目地を減らす、防カビコーキング
美観・劣化タイルの欠け・ひび・浮き、金属サビ、塗膜剥離下地補修+パネル上貼り、浴槽再生塗装、金物交換
体感性能冬の冷たさ、床の滑り、段差によるつまずき床シート(防滑・弾性)、断熱パネル、段差調整
防水・構造コーキング劣化、下地クラック、軽度の漏水コーキング打ち替え、パネル・シート施工
※重度の漏水は再生工事不可
工事制約狭い開口、共用部動線、騒音規制解体最小の上貼り・塗装、短工期計画

リフォーム方針を決めるチェックポイント

  • 🔎 下地健全性: タイルの浮き・ひび、含水や漏水跡
    • 下地の強度・接着状態を現地で確認
  • 💧 防水層の状態: 既存防水の劣化度合い
    • 先行補修が必要かを判断
  • 🚿 設備・配管: 給排水や金物の寿命、交換要否
    • 配管更新が必須なら入れ替え検討の目安に
  • 🌡 断熱・換気: 冬の冷え、結露、換気量
    • 壁パネル・床用シートや換気扇交換で改善可能かを判断
  • 🚚 施工条件: 搬入経路・作業時間・騒音制限
    • 短工期が求められるかを把握
  • 💰 優先順位と予算: 見た目/清掃性/安全性/耐久性
    • 優先度配分を明確化
  • 🧩 方針の目安:
    • 下地が概ね健全→再生工事(塗装・パネル・床シート)で短工期改善
    • 下地損傷が広範・配管一新が必要→入れ替え工事も選択肢に
  • 🧭 段階更新計画: まず壁パネル+床シートで清掃性と防滑性を確保
    • 将来浴槽再生塗装など、段階的に拡張できる計画が有効

在来浴室の再生工事とは(基本とメリット)

在来浴室の下地を活かし、塗装・パネル上貼り・床シートでリフォームする方法です。

解体が少ないため工期が短く、費用や騒音・粉じん・廃材を抑えやすく、お風呂が使えない期間も短くできます。
寸法や形状の制約に強く、必要箇所だけの部分リフォームや段階的な改善にも向き、ユニットバスへの入れ替えが難しい間取りでも現実的な選択肢になります。

再生工事が選ばれる理由(短工期・低コスト・形状対応)

  • ⏱️ 解体を最小限に抑え、復旧が早い
  • 💰 材料・搬出入・廃材費が抑えやすく、費用対効果が高い
  • 🧩 狭小・変形・梁欠きなどでも対応しやすい
  • 🧹 目地を減らして清掃性を改善
  • 🔁 必要箇所だけの段階的リフォームが可能

入れ替えと再生工事の違い【比較ガイド】

在来浴室のリフォームは「入れ替え」と「再生工事」の二択に大別できます。
以下の表では、費用・工期・形状対応・工事負担の観点で要点を整理しました。
短工期や予算重視なら再生工事、下地の大規模劣化や配管一新が必要な場合は入れ替えが目安になります。

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比較項目再生工事入れ替え
費用必要範囲のみ更新。
解体・廃材・搬入費を抑えやすい
解体〜配管〜下地〜機器一式の費用が発生
工期工程が少なく短期完了になりやすい解体・乾燥・配管・大工・設備で日数が増えやすい
形状・サイズ制約既存寸法を活用。狭小・変形・梁欠きにも柔軟規格寸法外は難しく、調整に追加コストが出やすい
騒音・粉じん・廃材解体が少なく、騒音・粉じん・廃材が抑えやすい解体・搬出入が多く、周辺負担が大きくなりやすい

再生工事に向くケース

再生工事は、解体を抑えて短期間・適正コストで改善したい場合に有効です。
下地が概ね健全で、搬入や稼働条件などの制約がある現場ほどメリットが出やすく、次のような場面が代表例です。

タイル下地活用/搬入制約対応の在来浴室再生

タイルがしっかり固定され、広範な損傷や漏水がないうえで、玄関・廊下・階段・エレベーターや梁の影響でユニットバスの搬入が難しい現場は、再生工事が適しています。

現場内で仕上げを更新できるため、解体や搬出入の負担を抑えつつ、短工期で見た目・清掃性・安全性を高められます。

  • 判断の目安
    • タイルの浮き・ひびが小規模
    • 壁面の平滑性が比較的良好
    • 漏水・濡れ跡がない
    • 搬入幅が狭く曲がりが厳しい
    • 梁・下がり壁で開口拡張が難しい
  • 代表プラン
    • 天井・壁パネル上貼り+床シート(バスナフローレ等)
    • 浴槽は再生塗装
    • 浴室ドアはカバー(アタッチメント)工法で交換
    • 腰下パネル+床シート、上部は一般建築塗装でコスト調整
    • タイル表面を浴室用樹脂塗料でコーティングして清掃性を向上
  • 施工の要点
    • 剥がれ、ひび割れ部は補修
    • 塗装はタイル用プライマー(下塗り材)を選定
    • 入隅・出隅・サッシ周りはアングルやジョイナー等の見切り材で納め、コーキングを確実に施工

再生工事のメニューと選び方

目的(清掃性・意匠・安全性・断熱性)と下地の状態、許容工期・予算を基準に工法を選びます。
単独でも効果がありますが、天井・壁・床・浴槽を組み合わせると満足度が上がります。

ここでは代表的な3工法の選び方と注意点を簡潔にまとめます。

浴槽の再生塗装が適するケース

浴槽の変色・小傷・艶落ちを短期間で改善したい場合に向きます。特殊形状や搬入制約で交換が難しい現場でも対応しやすいのが特長です。

  • 適した状態
    • 損傷の程度:細かいひび・大きなひび・サビ等が補修で対応できる
    • 浴槽素材:FRP/人造大理石/ホーロー/ステンレス/カラーステンレス
  • 代表プラン
    • 手順:下地補修 → プライマー(下塗り )→ トップコート(上塗り)仕上げ
    • 組み合わせ:天井・壁は化粧パネル、床はシートで統一感と清掃性を両立
  • 注意点、目安
    • 業者選び:浴槽の再生塗装は素材ごとの下地処理やプライマー選定、環境管理の難易度が高く、対応できる業者が少ない。施工実績が豊富で保証がある専門業者を選ぶ。
    • 使用再開:工事完了の翌日夕方

壁のパネル上貼りが適するケース

目地を減らして掃除を楽にしたい、冬の冷たさを和らげたい場合に非常に有効です。既存タイルがひび割れしていても対応可能です。

  • 適した状態
    • タイルの浮きが局所的で補修で対応可能
    • 漏水がない、または軽微でパネル・シートで補修可能
  • 代表プラン
    • タイル上から化粧(装飾)パネルを上貼り
    • 入隅・出隅・サッシ周りは見切り材(アングル/ジョイナー)で納める
    • 浴室床用シートを併用して清掃性と体感温度を改善
  • 注意点・目安
    • 端部のシール品質が清掃性・耐久性に直結
    • 開口や器具との干渉は事前採寸で回避(厚み増による段差・位置ズレに留意)
    • 既設アクセサリー撤去跡(ビス穴等)は必要に応じて下地補修のうえパネルで覆う

床シートが適するケース

滑りにくさや足当たりのやわらかさを重視する、冬の冷たさや水はね後の拭き取りを改善したい場合に適する。既存タイルの上からでも採用しやすい工法。

  • 適した状態
    • 下地に割れ・剝がれがあっても補修で対応可能
    • 排水勾配が確保されている
  • 代表プラン
    • 下地調整(樹脂モルタルでの目地埋め) → 専用耐水ボンド → 浴室床用シート張り→端部と排水部のコーキング
    • 目地埋めで段差緩和を行い、端部や排水部はコーキングで納める
    • 壁パネルや浴槽再生塗装と同時施工して工期を集約
  • 注意点・目安
    • 排水口の開口・割付が品質の要
    • 目地の段差を樹脂モルタルで平滑化
    • 工事完了の翌日夕方より使用可能

浴槽の再生塗装の基礎知識

浴槽の再生塗装は、交換せずに今ある浴槽を塗装でよみがえらせる方法です。色あせや小キズ、くすみが気になる場合でも、短い工期で見た目と使い心地を整えられます。

仕上がりと長持ちのためには、素材(FRP・人造大理石・ホーロー・ステンレス)に合った下地処理と塗料選びが大切です。
まずは状態を点検し、必要な補修を行ってから塗装する流れになります。素材やご希望の仕上がりを専門業者へお伝えいただくと、最適な提案が受けやすくなります。

対応素材(FRP・人造大理石・ホーロー・ステンレス)

素材特性・注意点下地処理のポイント下塗り(目安)
FRPキズ・くすみ・ひび割れが出やすいが、塗料との相性は◎削りすぎないように 均一に研磨して表面を整える FRP浴槽用の下塗り材 ⇒ FRP浴槽用上塗り
人工大理石表面が硬く、摩耗に強いが歪みで大きなひび割れが発生することも硬いので研磨が出来ていない箇所が残りやすい人工大理石浴槽プライマ⇒FRP浴槽用上塗り
ホーロー
(鋳物・鋼板)
サビや欠けが発生しやすい。縁・排水口まわりに注意エッチング※やダイヤモンドペーパーで表面を処理ホーロー浴槽用プライマー⇒ ホーロー浴槽用上塗り
ステンレス
(カラーステンレス含)
劣化に強いが、小傷が付きやすい研磨目を揃えて表面を均一化 ステンレス浴槽用プライマー⇒ステンレス浴槽用上塗り

※エッチング: ホーローのガラス質の表面を専用薬剤でごく薄くざらつかせ、塗装がなじみやすい微細な凹凸をつくる前処理です。
処理後は中和・水洗い・乾燥を行います。安全管理が必要なため、専門業者が施工します。

下地補修・ライニングの要否

仕上がりと耐久性を確保するため、欠けやひび、サビなどの状態に応じて下地補修やライニング(補強層の新設)を検討します。無理に塗装だけで仕上げると、早期の剥がれや割れにつながるため、事前診断が重要です。

症状判断の目安推奨処置
小さな欠け・穴点在・局所的で、変形や沈みがないエポキシパテで補修
細かいひび(ヘアークラック※等)0.2mm以下の線状のひび割れFRPライニング補修
薄いガラス繊維+ポリエステル樹脂
隆起しているひびや大きなひび、強度不足、人工大理石のブリスター(水泡)ひび割れが盛り上がっている、完全に割れているFRPライニング補強
分厚いガラス繊維+ポリエステル樹脂
ホーロー浴槽のサビ、ステンレス浴槽の溶接部のサビサビが確認できる素地まで除去⇒防錆エポキシパテ⇒防錆処理

ヘアークラック:FRP浴槽の表面(ゲルコート)に入る髪の毛のように細いひび(0.2mm以下)を指します。多くは表層の微細なひびで、長期間の使用による微小なたわみ、熱湯と水の温度差などの加水分解により発生します。放置すると汚れや水分が入り込み、変色やひびの拡大につながることがあります。

    補修やライニングは素材ごとの適合性と工程管理が仕上がりを左右します。実績と工程の開示ができる専門業者へご相談ください。

仕上げ塗料と耐久性の考え方

  • 樹脂タイプ:ポリウレタン/アクリルウレタン/アクリルシリコン/フッ素系など。素材に応じて選定。
  • 艶と清掃性:光沢と拭き取り性◎
  • 付加機能:防カビ・抗菌/黄変・変色・退色抑制/温度変化への追従性。
  • 使用上の注意:研磨剤入りの洗剤やメラミンスポンジは避ける/柔らかいスポンジと中性洗剤を基本に。

施工手順と養生のポイント

  • 基本工程:洗浄・脱脂 → 研磨・素地調整 → 補修(必要に応じて) → プライマー →トップコート → 乾燥
  • 養生・環境管理:周辺の養生徹底/温湿度・換気の管理/塵埃の混入防止
  • 仕上がり管理:膜厚・色むら・ピンホールのチェック/必要に応じて最終研磨・艶調整
  • 使用再開
    • 工事完了の翌日夕方(FRP/人工大理石)
    • 工事完了の翌々日夕方(ホーロー/ステンレス)

壁のパネル上貼りの基礎知識

既存タイルを解体せず、その上から専用パネルを貼って仕上げる方法です。
目地を面で覆えるため清掃性が高まり、工期や騒音・粉じんを抑えやすいのが特長で、下地の健全性を確認し
端部・開口まわりの納まりとシール計画を事前に検討すると、仕上がりと耐久性が安定します。

既存タイル上から貼るメリット

  • 工期・負担の軽減
    • 解体を省けるため、工期短縮と騒音・粉じんの低減につながる
    • 廃材量を抑え、共用部の養生や搬出入負担も軽くなる
  • 仕上がりの向上
    • 目地を面で覆い、凹凸がなくなる
    • 意匠バリエーションが豊富で、既存設備に合わせた質感選択がしやすい
  • 運用との両立
    • 短時間の施工計画に組み込みやすい
    • 入居中・営業中でも影響を抑えやすい

継ぎ目減少で掃除が楽になる理由

  • 汚れの滞留を抑制
    • 目地が無くなる事により、石けんカスや皮脂汚れが溜まりにくく、カビの発生も抑制
    • 水はけがよく、乾きやすいためカビの発生条件を減らせる
  • 清掃頻度の最適化
    • 日常は中性洗剤と柔らかいスポンジで対応しやすい
    • 漂白剤や強い研磨剤に頼りにくく、仕上げ面を長く保ちやすい
  • 維持管理の見える化
    • 継ぎ目が少ないため、シールの点検ポイントが明確になる

断熱性とカビ対策のポイント

  • 断熱一体型を優先選定
    • 外気側の冷えを伝えにくくし、壁面の結露発生を抑えやすい
    • 冬場の体感温度を底上げでき、ヒートショック対策にも◎
  • 役物(アングル・ジョイナー)とコーキング
    • 継ぎ目・入隅・出隅は役物に先行コーキングを施し、パネルを差し込んで水の回り込みを防止
    • 各所のコーキングを確実に施工
  • 下地診断と面出し
    • タイルの浮き・ひび・段差は補修し、平滑性を確保
    • 器具干渉(換気扇・給湯リモコン)は事前採寸で適切に開口

床シート施工の基礎知識

既存タイルを活かし、その上から浴室用の床シートを貼る工法です。防滑性とほどよい弾性で転倒リスクを減らし、素足でも冷たさを感じにくくなります。

目地を面で覆うため清掃がしやすく、なんといっても短工期・低コストで導入しやすいのが特長です。

主な浴室床シートの種類

  • バスナフローレ(東リ):プレーン柄中心の浴室用ビニル床シートで、防滑性と水はけ、クッション性に優れます。
  • バスナアルティ(東リ):キャスター走行性と接触温熱感に配慮したタイプで、機械浴や介護現場にも向きます。
  • バスナリアルデザイン(東リ):石目調やモザイクタイル調などのリアルな意匠が特徴で、清掃性・防滑性にも優れています。
  • あんから(フクビ):発泡層で衝撃をやわらげ、水はけ・防滑・断熱性に配慮した後貼りリフォーム向けシートです。
  • サンダインフロア:特殊ゴム系の浴室床材で、耐水・耐熱・耐薬品性とシボ加工による防滑性が特長です。

シートの特徴と選定ポイント

  • 機能
    • 防滑:濡れた足でも滑りにくい表面テクスチャー
    • 弾性:クッション性で足当たりをやわらげる
    • 衛生:防カビ・抗菌仕様
  • 意匠・厚み
    • 石目・プレーン・モノトーンなど多彩な柄
    • 厚みは一般に3~4mm前後を基準に、用途に応じて選定
  • 納まり
    • 端部は見切り材や専用コーキングで水の回り込みを抑制
    • 継ぎ目は熱溶接または専用コーキングで防水性を確保

下地調整と勾配づくりの基本

  • 下地の健全化
    • タイルの浮き・割れは事前に補修し、欠損は充填して平滑化
    • 目地は樹脂モルタルで埋め、平滑化
  • 排水勾配の調整
    • 水がたまる箇所は樹脂モルタルで局所的に勾配を補正
    • 排水口まわりの勾配は裏に切れ込みを入れるなどして、シートの密着を高める

施工手順と端部納まり

  • 手順
    • 洗浄・脱脂 → 下地補修・目地埋め → 専用耐水ボンド → 張り込み・転圧 → 端部処理
  • 端部・排水廻りの納まり
    • 専用コーキング剤で処理

メンテナンスと使用再開の目安

  • 清掃
    • 日常は中性洗剤+柔らかいモップ・スポンジで対応
    • 浴室床用のブラシも使用可能(製品による)
  • 使用再開
    • 歩行は接着剤の初期硬化後、入浴は工事完了の翌日夕方以降

実例で学ぶ 在来浴室の再生リフォーム(施工事例)

代表的な3パターンを、課題・実施内容・効果・工期の順に簡潔にまとめました。全て弊社の施工例です。

在来タイル浴室|浴槽再生塗装+壁パネル上貼り+床シート

在来浴室の全面リフォームです。天井、壁面、浴槽、洗い場床、全てを再生工事で仕上げました。

スクロールできます
項目内容
場所京都府城陽市
課題タイル目地のカビが落ちにくく、入浴後の冷えと床の滑りが気になる状態
実施内容人工大理石浴槽は再生塗装。天井・壁は化粧パネルを上貼り。床は浴室床用シートを施工
効果目地を隠すフラットな仕上がりで、掃除がぐっと楽に
壁や床のひんやり感もやわらぎ、床はすべりにくく、クッション性アップで素足にもやさしい踏み心地に
工期目安3日
施工前の在来浴室。青基調の壁と浴槽、玉砂利の洗い出し床で冷たい印象
施工前|青基調の在来浴室(玉砂利床)
壁と浴槽は青が基調で、やや冷たい印象。床は玉砂利の洗い出しで、どうしても古っぽさを感じる
施工後の浴室。グレー基調で壁パネル・床シート・グレーの浴槽がシックな印象
施工後|グレー基調のシックな仕上がり
天壁はパネル上貼り、床は浴室床用シート、浴槽はクールなグレーへ再生塗装。全体をグレーで統一し、落ち着いたモダンな印象に

浴槽・壁タイル再生塗装+天井・壁パネル、床シート併用事例

古さが目立つステンレス浴槽は再生塗装で印象を一新します。ご予算を抑えるためにパネルは天井と正面壁に限定し、その他のタイル面は塗装と上貼り工法を併用しました。素材と色調を整えることで、統一感のある明るい空間に仕上げます。

スクロールできます
項目内容
場所大阪府高石市。
課題ステンレス浴槽とタイルの配色で経年感が強く、タイルはひび割れ多め。
賃貸物件のため予算を抑制。
実施内容浴槽と一部壁タイルはひび割れ補修後、再生塗装。
天井・正面壁は化粧パネル上貼りとする。その他のタイル面は塗装と上貼りを併用。
床は浴室床用シートを施工。
効果金属感を抑えた落ち着いた質感に更新。アイボリー基調で明るく温かい印象に統一。木目アクセントパネルで空間に温かみを付加。清掃性が大きく向上。
工期目安3日
施工前の在来浴室。壁タイルにひび割れがあり、ステンレス浴槽とタイルの配色で古い印象
施工前|ひび割れタイルとステンレス浴槽で古い印象
壁面タイルにひび割れが点在し、ステンレスとタイルの配色が相まって全体に古さと冷たい印象が出ている。
施工後の浴室。アイボリー基調で明るく、正面の木目アクセントパネルが現代的な印象
施工後|アイボリー基調+木目アクセントで明るく現代的
ひび割れを解消し、アイボリー基調で統一。正面の木目アクセントパネルが空間を引き締め、現代的で温かみのある雰囲気に仕上がった。

浴槽・腰下タイル再生塗装+床シートの部分リフォーム事例

賃貸や限られたご予算の物件で、入居募集や短期改善を目的とするケースに適した内容です。見た目と安全性に直結する部位を優先し、短い工期で印象を高めます。

スクロールできます
項目内容
場所大阪府貝塚市
課題ホーロー浴槽の変色とザラつき、玉砂利洗い出しの床で古さが強く、内見時に浴室がネック
実施内容浴槽と腰下タイルを再生塗装で大きく刷新
床はバスナフローレを採用し、防滑性とクッション性を付与
効果短工期で清潔感と明るさを確保。床はすべりにくく素足にやさしい踏み心地に
募集時の第一印象を改善
工期目安2日
施工前の在来浴室。青基調の壁と腰下タイル、玉砂利洗い出しの床、表面がざらついたホーロー浴槽で古い印象
施工前|青基調と玉砂利床で古い印象
青いタイルと腰下の配色が重く、床は玉砂利洗い出し。ホーロー浴槽の表面がざらつき、清掃性と見た目に課題がある状態
施工後の浴室。再生塗装で白く仕上げた浴槽と腰下タイル、アイボリーのバスナフローレ床で明るく現代的な印象
施工後|白×アイボリーで明るく現代的
浴槽と腰下タイルは再生塗装で真っ白に。床はアイボリーのバスナフローレを採用し、防滑性とやわらかな踏み心地を両立。清潔感のある現代的な雰囲気に刷新

📞 再生工事の事なら、お気軽にお問い合わせください。 👉 お問い合わせページへ
施工事例ページ、料金ページもご覧になってください👇

費用・工期の早見表(工法別)

以下の表は、主要工法ごとのおおよその費用と工期をまとめた早見表です。検討の目安としてご覧ください。

前提: 内寸1m20㎝×1m60㎝の標準的な在来浴室、壁高2.2m前後を想定しています。現場条件・面積・開口数・素材・下地状態により変動します。

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工法施工範囲の例費用目安工期目安
浴槽の再生塗装FRP/人工大理石/ホーロー/ステンレス7万〜15万円1〜2日
壁パネル上貼り1面~全面10万〜25万円半日〜2日
床シートタイルや玉砂利、モルタル6万〜15万円半日
天井・壁の塗装バスリブ/タイル5万〜15万円0.5〜1日
複合施工(例)浴槽塗装+天壁パネル+床シート35万〜50万円3〜4日

バスリブ:浴室の天井や壁に使う細長い板状パネルの総称

業者選びと保証・アフターサービス

価格は大切ですが、価格だけで選ぶと仕上がりの粗さや対応トラブル、早期不具合につながる恐れがあります。施工実績・問い合わせ対応・提案力・保証体制を総合的に見極めて、安心できるパートナーを選びましょう。

施工実績のチェックポイント

  • HP・SNSの事例掲載:HPは必ず確認。ビフォーアフター、施工写真の有無
  • 在来×再生工事の経験:浴槽塗装/壁パネル/床シートの実績数と素材別対応力
  • 浴槽タイプの幅:ステンレスやホーローの再生塗装のバリエーション
  • 補修の対応力:様々な状況に対応できる技術力

問い合わせ対応で見る信頼性

  • 応対品質:電話・メールの言葉遣い、返信速度、質問への的確な回答
  • 見積の明瞭さ:範囲・材料・保証を分けて提示
  • リスク説明:入浴再開時期、臭気・仕上がりに関する注意点の説明

提案力の見極め

  • 部分施工の可否:壁だけ・床だけ等、範囲の大きさにこだわらず柔軟な提案ができる
  • 代替案の提示:予算・工期・意匠に応じた複数プラン(希望範囲~少額予算まで)
  • 納まり設計:役物(アングル・ジョイナー)など、仕様の具体説明

価格の見方と注意点

  • 比較観点:材料名とグレード、施工範囲の線引き、下地補修の有無、役物を使うか否か
  • 警戒サイン:極端に安い見積、工程省略、保証が曖昧、材料の明記がない
  • 総合判断:価格だけでなく、実績・提案・応対・保証のバランスで決める

保証・アフターサービスの確認事項

  • 保証範囲と年数:対象範囲と免責事項が明記されているか(出来ればサンプルをもらう)
  • 書面発行:保証書は発行してもらえるか

まずは実績で技術力を、問い合わせ対応で信頼性を、提案内容で現場適合性を、
保証でサポート力を確認し、総合評価で選定してください。

まとめ

在来浴室は、解体せずとも再生工事で十分にリフォームできます。間口や形状の制約でユニットバスをあきらめていた場合でも、既存を活かして見た目・清掃性・安全性を短期間で高める事が可能です。

  • 形状・サイズの制約がある空間でも対応可能。
  • 予算と優先度に合わせて、部分リフォーム・段階的なリフォームが選べる。
  • 業者選びは「対応力・提案力・技術力」を重視(事例・仕様・納まり・保証まで確認)。

検討時は、現状の課題と優先順位、許容できる工期・予算を整理し、工法ごとの費用・工期を比較するのが実務的です。この記事を活用して、在来浴室のリフォームにお役立てください。

在来浴室の再生リフォームに関するよくある質問(FAQ)

  • 標準的サイズ(内寸約1.2m×1.6m)での目安は、浴槽再生塗装7万〜15万円、壁パネル上貼り10万〜25万円、床シート6万〜15万円、複合施工35万〜50万円です。面積や開口加工、下地の状態で増減します。

  • 床シートは半日、壁パネルは1〜2日、浴槽再生塗装は1〜2日が一般的です。入浴再開は工事完了の翌日夕方が基本です。浴槽塗装は材質によって変動します。

  • はい。梁欠き・変形・狭小でも既存寸法を活かして対応できます。役物(アングル・ジョイナー)や見切り材を用いて、端部・開口まわりの納まりを最適化します。

  • 解体を伴わないため、騒音・粉じんは比較的少なめです。臭気は工程によって発生しますが、換気と養生で低減します。在宅・稼働中の施設でも実施可能です。

  • 使用環境とケアで変動しますが、浴槽塗装は適切な施工とお手入れで10年以上の美観維持が期待できます。壁パネルや床シートは長期にわたり清掃性と見た目を保ちやすくなります。

  • 日常は中性洗剤+やわらかいスポンジで十分です。強い研磨剤や溶剤、塩素系の高濃度使用は避けてください。コーキングや継ぎ目は定期的に点検すると安心です。

  • 保証期間は業者によって異なりますが、1〜2年に設定しているケースが一般的です。対象範囲(例:塗膜の剥離・ひび・変色など)と免責事項、対応フローを事前にご確認ください。

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この記事を書いた人

株式会社ビューティーメイク 代表取締役
水廻り再生リフォーム歴32年

日々、浴室・浴槽塗装、キッチン塗装等、パネル・シート施工等、水廻りの再生リフォームを研究しております。
少しでも皆様に再生リフォームを知っていただく為、わかりやすくお役に立てる記事を書いていきます。
水廻り再生リフォームに、ご不安やご不明な点、ご質問があれば
お気軽にご相談下さい。

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