絶対に剥がれないFRP浴槽の塗装方法を専門家が徹底解説!

浴槽って本当に塗装できるの?」――答えは「できます」。
FRP(繊維強化プラスチック)浴槽は、適切な下地処理と専用塗料で美観と清掃性を再生できます。

この記事では、実際の現場手順に沿ってわかりやすく解説し、
剥がれにくく長持ちさせるコツや、下地処理から仕上げまでの流れ、乾燥・再入浴の目安まで丁寧にお伝えします。

時間がない方へ|絶対に剥がれないFRP浴槽再生塗装の要点まとめ
  • FRP(繊維強化プラスチック)浴槽は軽量で丈夫。塗装で美観と清掃性を短工期で回復できます。
  • 費用は交換の1/3〜1/5、工期は最短1日。ホテル・賃貸などでも営業停止や空室期間を抑えやすいです。
  • 劣化の代表例は「黄ばみ・艶引け・小キズ・ザラつき・部分的な変色」です。塗装で均一な艶と色に整えます。
  • 剥がれ対策の要点は「下地処理(足付け・脱脂)+専用プライマー」です。
  • 清掃は中性洗剤が基本。研磨剤常用や強アルカリ・高濃度塩素は塗膜劣化を早めるため避けます。
  • DIYは剥がれリスクが高めのため、実績・保証のある業者依頼がおすすめです
交換より安く、
最短1日で再生!
目次

FRP浴槽塗装とは?

FRP浴槽の見た目の劣化(黄ばみ・色あせ・小キズ)や機能低下(汚れが落ちにくい、手触りのザラつき)を、
塗装で再生する方法です。工期が短く、浴室全体の解体を伴わないため、費用とダウンタイム(浴槽・浴室を使用できない時間)を抑えられるのが特長です。

ホテル・賃貸・管理物件など、営業停止や空室期間を最小化したいケースでも有効です。

FRP浴槽の塗装
FRP浴槽塗装の施工例

FRP浴槽とは

FRPとは繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)の略で、樹脂とガラス繊維等で構成している材質を使用した浴槽の事です。
浴槽の材質の中では、軽量・安価でユニットバスに多く使用されています。

軽量・安価でユニットバスの浴槽に広く採用され、成形自由度が高く、断熱材との組み合わせで保温性にも優れます。一方で、長年の使用で細なキズや紫外線・薬剤による退色が進み、艶引けや汚れの固着が起きやすくなります。こうした症状は塗装での再生が適しています。

交換との違い

浴槽交換は見た目・機能ともに一新できますが、解体・搬入・配管調整が必要になり費用・工期が大きくなりがちです。FRP浴槽の塗装は、浴槽本体を活かして表面を再生するため、低コスト・短工期で美観と清掃性を取り戻せます。

スクロールできます
項目FRP浴槽の塗装浴槽交換
目的既存のFRP浴槽表面(ゲルコート層)を再生し、美観・清掃性を回復します浴槽本体を新しい製品へ入れ替え、見た目・形状・付随機能を一新します
費用の目安交換の1/3〜1/5が目安(状態・大きさで変動)部材+解体・搬入・復旧費で高め(周辺工事が増えるほど上振れ)
工期とダウンタイム最短1日施工。
ダウンタイム(浴槽・浴室を使用できない時間)は1〜2日程度(季節・乾燥条件により前後)
在来浴室の浴槽単体交換で3〜5日、
ユニットバス全体交換は約1週間〜
ダウンタイムは工事範囲に依存
解体・搬入基本解体なし(既存を活かす)解体・搬入あり
壁・床の復旧や開口拡張が必要な場合あり
騒音・粉じん・臭気騒音・粉じんは少ない。溶剤臭は強制排気で軽減解体・搬入で中〜大
粉じん・騒音・廃材が発生
配管・金具既存を活用再接続・位置調整・部材互換性の確認が必要
仕上がり色変更OK(標準色〜特注色)
メーカー既成色・艶に準拠
形状変更は製品選定次第
適する劣化症状黄ばみ・艶引け・小キズ・局所変色・軽微な膨れ。
※大きなひび割れ・クラックはFRPライニング補修+塗装で補修可能
大きな割れ・欠損、形状変更・サイズ変更、断熱改善を重視する場合。
耐久目安10年目安(使用環境・清掃方法で前後)。
メンテナンスで延命可能。
製品寿命と同等(メーカー規定に準拠)。
保証施工仕様に応じた工事保証メーカー製品保証+工事保証。
廃材・環境負荷少ない(解体が不要で廃材最小)。多い(旧浴槽・副資材の廃棄が発生)。
おすすめダウンタイム短縮・コスト最適化・空室対策を重視するホテル・賃貸・管理物件、
交換ほどの予算をかけずに見栄えと清掃性を上げたい個人宅。
全面リニューアルや間取り変更、新機能の追加を前提に計画する物件。

浴槽塗装は剥がれないのか?

剥がれの原因の多くは、不十分な下地処理・脱脂不足・乾燥不良です。
逆に言えば、適切な足付け(研磨)と清浄化(汚れや油分のない状態)、浴槽用樹脂系塗料の選定を徹底すれば、高い密着性が得られます。

使用環境(入浴剤の種類、清掃方法、温度条件)により耐久性は変わるため、中性洗剤と柔らかいスポンジの清掃・研磨剤を使用しないなどメンテナンスのルールを守ることが長持ちの秘訣です。

施工前のユニットバスFRP浴槽。水位線の黄ばみ・くすみ・艶引けが目立つ状態
施工前|ユニットバスのFRP浴槽(変色・黄ばみ)
経年劣化により水位線まわりの黄ばみとくすみ、艶引けが目立つ状態です。清掃では落ちない色ムラが残っています。
塗装後のFRP浴槽
施工後|FRP浴槽の再生塗装で真っ白・高光沢に
下地処理(足付け・脱脂)と専用塗料で均一な光沢に仕上げました。黄ばみとくすみを解消し、清掃性が向上しています。

FRP浴槽の下地処理

塗装の仕上がりと耐久性を左右する最重要工程です。清掃 → 足付け → 洗浄 → 乾燥 → 確認の順で、被塗面をムラなく、汚れや油分のない、しっかり乾いた状態に整えます。

STEP

清掃

まず、皮脂や石けんカス、湯あか、カビなどの汚れ・付着物を徹底的に取り除きます。

塗装用の洗浄・脱脂剤と不織布研磨材を併用し、汚れ落としと微細な目荒らし(足付け)を同時に行うことで、その後のサンディング(足付け)がスムーズになり、塗料の密着が安定します。

STEP

足付け

足付けとは、塗料がしっかり密着するように、被塗面に微細な傷(目荒らし)をつけて密着面を増やす作業をいいます。

FRP浴槽の足付けにはサンドペーパー(紙やすり)を使用します。
ペーパーには #180・#1000 のように番手があり、数字が小さいほど目が荒いペーパーです。
荒いほど削れますが、削れば良いというものではありません。
深い傷は塗装後にペーパー目として出やすいため、目的に合った番手で均一に目を付けることが大切です。


足付け用の機械

FRP浴槽の下地処理では、#220〜#320 を基準に表面を均一に削っていきます。
荒い番手で削ると削り過ぎや塗装後にペーパーで削った跡が浮く原因になるため、#220〜#320あたりを使い、丁寧に進めます。
広い面は機械(電動サンダー)で効率よく、エッジや入り組んだ部分は手作業で仕上げます。


水研ぎ(湿式)と空研ぎ(乾式)を併用しますが、機械研磨は空研ぎの方が状態を目視確認しやすいため、集じん機を接続して粉じんを吸いながら作業します。


浴槽底面にノンスリップ(滑り止めの凸凹)がある場合機械で削り過ぎると凹凸が消えて滑りやすくなるおそれがあります。
細部はスリット入りのペーパーや細幅の研磨材を使い、凹凸の形状を残しながら慎重に削ります。

出典:kovax株式会社 フレックスクロススリットロール
STEP

洗浄

足付けが終わったら、FRP浴槽をたっぷりの水でしっかり洗い流します。

水をかけるだけでは研磨カスが残りやすいので、マイクロファイバークロスでこすりながら流して細かな粉まで落とします。

拭き取りだけで済ませると研磨カスが残って塗料が弾かれる・表面がザラつく原因になるため、
水を十分に流して角や縁、金具まわり・排水口まわりまで丁寧に洗い流します。

STEP

乾燥

水分は密着不良の原因です。
温風乾燥で完全乾燥させ、とくに追い焚き配管まわり・金具まわりは念入りに。水が後からにじむ箇所を残さないようにします。

STEP

確認

ライトを多方向から当てて、足付けムラ・過研磨・ペーパー目の露出をチェック。

問題がなければ下地処理完了です。

ここまでのポイント

ここまでの下地処理(清掃→足付け→洗浄→乾燥→最終チェック)は、FRP浴槽の塗装の密着と仕上がりを左右する最重要工程です。小さな抜けでもハジキ・ザラつき・早期の剥がれにつながります。

  • #220〜#320のペーパーで均一に削り、深い傷を残さないこと。
  • ノンスリップ部は形状を保つため、スリット入りペーパーで慎重に処理する。
  • 洗浄は水+マイクロファイバーで角・縁・金具まわり・排水口まわりまで研磨カスを確実に除去する(拭き取りのみは不可)。
  • 乾燥は水切り→拭き上げ→送風(または温風)の順で行い、残水ゼロを徹底する。特に金具・配管まわりに注意。
  • 最終チェックはライトを多方向から当てて目付けムラ・深いペーパー目を確認。
    手触りでザラつきがないかもあわせて点検する。

ここまで整えば、次の工程に進みます。

塗装工程

塗装に入る前は、養生→脱脂→清掃→乾燥の順で最終準備を行います。

養生で塗装しない箇所の壁・床・金具を保護し、塗料の飛散や周辺の汚れ付着を防ぎます。
次に脱脂では、作業中に付いた手の脂などの油分を溶剤拭きでていねいに取り除き、密着を安定させます。

清掃は最終のホコリ取り(タッククロス等)を行い、仕上げ前の表面を整えます。
最後に乾いた状態を確認して塗装に進みます。

ここまで整えることで、FRP浴槽の塗装は密着が安定し、艶ムラやゴミの付着を抑え、仕上がりと耐久性が向上します。

STEP

養生

金具・排水口のマスキング、壁・天井のビニールマスカー、床の厚手ノンスリップシートで飛散防止。
塗装は吹き付けで行うので、脱衣所まで防塵・養生範囲を広めに確保します。

廊下まで養生して搬出入時の汚れとミストを防止
施工前準備|廊下まできっちり養生
通路をシート+テープで保護し、搬出入のキズ・汚れやミスト拡散を防ぎます。出入口は養生カーテンで防塵します。
壁天井をマスカー、床をシートで養生し金具と排水口をマスキングした浴室
施工前準備|浴室内の養生(壁・床・金具)
壁天井はマスカー、床はノンスリップシートで保護。金具・排水口はマスキングして飛散を抑え、FRP浴槽の塗装品質を高めます。
STEP

脱脂

塗装前にFRP浴槽の表面に手の脂などの油分が残っていると、
密着不良や塗料のはじきが起き、仕上がりを損ないます。
脱脂剤(溶剤)で面の端から端へ一方向にむらなく拭き取り、確実に脱脂してから塗装します。

STEP

塗装

塗装はHVLP(High-Volume, Low-Pressure)ガンによる吹き付けで行います。

HVLPは低圧の空気を多量に使って塗料を霧化する方式で、従来の高圧スプレーに比べて塗着効率が高く、塗料のロスや飛散を抑えられます。
一方で霧化粒子がやや粗くなりやすいと言われますが、シンナー比・吐出量・ガン距離・塗り速度を適切に調整すれば、浴槽塗装でも均一でなめらかな塗り肌に仕上げられます。

機材と排気ダクトをセットし、換気を確保したら、塗装工程に進みます。

下塗り(プライマー)

  • プライマーの役割は、塗料の密着を安定させることと、下地の肌を整えて仕上がりを高めることです。
  • 大抵の浴槽用塗料はFRPとの相性が良いため、下地処理が適切であれば省略できる場合もあります。
    仕上がり重視や下地の状態に応じて選定します。
種類主な目的適する状態施工メモ
浸透型素地になじませて密着を安定させるノンスリップ廻りや、SMC(Sheet Molding Compound)浴槽の離型剤対策薄く均一に塗布
薄塗り軽い肌調整を行う軽いペーパー目やわずかなムラをならしたい場合厚塗り注意
厚塗り面を作って平滑化傷が多い、FRP繊維の毛羽立ちが目立つ場合。塗り過ぎに注意し、均一にのせます

いずれのプライマーも塗布後は十分に乾燥させ、#400〜#600で軽く研磨して表面を整えます。

上塗り(トップコート)

上塗りは、FRP浴槽用の特殊ウレタン樹脂塗料を吹き付けで施工します。温水や入浴剤に強く、長時間の溜め湯でも退色・変色しにくい浴槽用グレードを使用します。

一度に厚くのせず、薄く塗って「指触乾燥(表面に軽く触れて指に塗料が付かない状態)」を確認してから塗り重ねます。

目安は4〜5回程度、ムラがなく均一な塗り肌になっていることを確認したうえで、最後に仕上げの吹付けを行います。
仕上げの吹付けは塗料がタレないように気を付けながら、光沢が出るようにしっかり吹き付けます。

塗装中の浴室はミストで視界が落ちるため、ガン距離・角度・重ね幅を一定に保ちます。完了後はすぐにライトを低い角度から当て、塗り残し・タレ・異物の有無をくまなく確認し、問題がなければ乾燥工程へ進みます。

上塗り直後のFRP浴槽。白く均一な高光沢の塗りたて状態(硬化前)
施工中|上塗り直後のFRP浴槽(塗りたて)
塗装を終えた直後の状態です。白く均一な高光沢が出ています。
塗膜はまだ硬化前のため触れず、このあと最終確認を行って乾燥工程へ進みます。
STEP

乾燥

塗装が完了したら乾燥に移ります。自然乾燥では季節や室温の影響を受け、5〜10時間程度かかります。
そのため初期乾燥後(15分程度)は赤外線ヒーターを使用して強制乾燥を行います。
これにより、約1時間で仕上げ作業に進める初期硬化の状態まで短縮できます(環境により前後)。

STEP

仕上げ

乾燥後は仕上げ工程に入ります。仕上げは、塗装時に付着した細かな異物を取り除く作業で、光沢を出すことが目的ではありません(光沢は塗装で十分に出ています)。

綺麗な塗膜が形成されているため、必要以上に削らないよう注意します。現場施工では微細な付着物が避けられないため、#2000〜#3000のペーパーで異物の頭をならし、ウレタン製バフと超微粒子コンパウンド、仕上げ用コンパウンドでバフ掛けして完了です。

変色しているFRP浴槽の施工例|大阪府大阪市北区

大阪市北区での施工例です。FRP浴槽の黄ばみ・変色を、浴槽塗装で再生し、短工期で美観と清掃性を回復しました。

施工前のFRP浴槽。黄ばみと変色が目立つ状態
施工前|FRP浴槽(黄ばみ・変色)
水位線まわりの黄ばみと色ムラが目立ちます。
施工後のFRP浴槽。再生塗装で真っ白な高光沢に仕上がった状態
施工後|FRP浴槽の再生塗装で真っ白に
均一な高光沢となり、黄ばみと変色を解消しました。

📞 再生工事の事なら、お気軽にお問い合わせください。 👉 お問い合わせページへ
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まとめ

今回の記事では絶対に剥がれないFRP浴槽の塗装法を解説しました。的確で丁寧な下地処理と適切な塗料を使用すれば、絶対に剥がれない施工は可能です。もちろん、お湯貯め・追い焚きも全く問題はありません。

  • 基本手順:「清掃 → 足付け → 洗浄 → 乾燥 → 最終チェック」を丁寧に実施
  • 養生:漏れなくきっちり(壁・床・金具を保護)
  • 脱脂:手の脂などの油分を一方向拭きで確実に除去
  • 上塗り:FRP浴槽用特殊ウレタン樹脂塗料を薄く重ね塗り後、仕上げ吹き。
  • プライマー:必要に応じて選定(浸透型/薄塗り/厚塗り)、傷・毛羽立ちを平滑化
  • 乾燥:季節・環境に合わせて管理、赤外線ヒーター併用で時間短縮
  • 仕上げ:付着ゴミのみ除去、塗装本来の艶を活かす

交換せずに短工期・低コストで、きれいなFRP浴槽に生まれ変わります。
下地から仕上げまで丁寧に行えば、毎日の入浴でも塗膜は安定し、白さ・ツヤ・清掃性が長く続きます。

FRP浴槽の塗装に関するよくある質問(FAQ)

  • サイズや劣化、補修の有無(ひび・膨れ)で変わりますが、目安は8万〜15万円前後です。交換の1/3〜1/5に収まるケースが多く、現地確認後に正式お見積りをご案内します。

  • 標準で最短1日施工です。翌日の夜にはご入浴が可能です。

  • 使用環境とお手入れによりますが、10年が目安です。保証は2年間です。

  • 影響はありません。循環金具まわりは養生・施工を適切に行います。再入浴の開始時期だけ、施工時にお伝えする目安に従ってください。

  • 塗装中は溶剤臭がありますが、換気と養生で居室側への影響を抑えます。乾燥が進むとにおいは大きく低減し、入浴が可能になる工事翌日の夜にはほとんどにおいはしません。

  • 中性洗剤と柔らかいスポンジをおすすめします。研磨剤入りや強アルカリ・高濃度塩素の常用は避けてください。入浴剤は使用量を守り、使用後は洗い流すと安心です。

  • DIYも可能ですが、下地処理・脱脂・温湿度管理が難しく、剥がれの原因になりがちです。業者施工は設備と実績があり、仕上がりと耐久性、保証面で安心です。

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この記事を書いた人

株式会社ビューティーメイク 代表取締役
水廻り再生リフォーム歴32年

日々、浴室・浴槽塗装、キッチン塗装等、パネル・シート施工等、水廻りの再生リフォームを研究しております。
少しでも皆様に再生リフォームを知っていただく為、わかりやすくお役に立てる記事を書いていきます。
水廻り再生リフォームに、ご不安やご不明な点、ご質問があれば
お気軽にご相談下さい。

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