ユニットバスは、工期の短さ・高い防水性・清掃のしやすさで多くの建物に採用されています。
特にホテル・賃貸物件・商業施設では、短期間でのリニューアルが求められるため重宝され、戸建て・マンションの個人宅でも人気です。
一方、リフォーム時には次のような悩みがよく発生します。
✅ 規格や寸法が分からない
✅ サイズが合わず入れ替えできない
✅ フルリフォームは高額で難しい
そこで本記事では、ユニットバスの基本構造と規格寸法の解説から、リフォーム前の確認ポイント、さらに「寸法的に入れ替えができない場合の代替手段(パネル・シート・塗装)」まで詳しく紹介。
法人・個人問わず、費用対効果と快適性を両立した最適なリフォーム選びをサポートします。
ユニットバスの基本構造と規格寸法
ユニットバスとは、浴槽・壁・床・天井が一体化した工場製造の浴室ユニットです。
短期間で設置できるうえ、高い防水性・断熱性・清掃性を兼ね備えているため、ホテル・賃貸物件・商業施設・戸建て住宅など幅広い場所で採用されています。

規格寸法の基本を押さえよう
日本国内のユニットバスには「1014」「1216」「1624」などの規格サイズが存在します。
規格サイズは、メーカーによっては、扉上に規格のシールが貼ってある場合があります。

良く使われるユニットバスの規格は以下の通りです。
サイズ名 | 寸法(幅×奥行) | 坪数 |
---|---|---|
1216 | 1.2m × 1.6m | 0.75坪 |
1418 | 1.4m × 1.8m | 1坪 |
1616 | 1.6m × 1.6m | 1坪 |
1618 | 1.6m × 1.8m | 1.25坪 |
1620 | 1.6m × 2.0m | 1.25坪 |
1624 | 1.6m × 2.4m | 1.5坪 |
💡 POINT:「1216」は幅1,200 mm×奥行1,600 mmを意味し、数字はおおよその内寸を表しています。高さは一般的にマンションであれば1,900~2,000mm程度、戸建は2,100〜2,400 mm程度です。



メーカーやシリーズ間で規格が異なるリスク
既存のユニットバスから同じサイズに交換する場合、
✅ メーカーが違う場合はもちろん
✅ 同じメーカー内でもシリーズが違えば
壁パネルの厚み、ドア位置、換気扇や照明の配置などが微妙に異なり、そのまま交換できないケースがあります。
特に次のような例が多いです。
- 旧シリーズ1216サイズ → 新シリーズ1216サイズ
→ 規格上は同じでも、実寸で数センチの差があり調整が必要 - ドア位置や天井高がシリーズ間で異なる
→ 廊下や洗面室との取り合い部分で段差・隙間が発生
💡 POINT
メーカーカタログの数値だけでは判断せず、必ず現地採寸・施工業者の確認が必要です。
リフォーム前に確認すべき寸法と注意点
リフォーム計画前には次のポイントを必ずチェックしてください。

サイズ確認のポイント
- 浴室内寸法(幅・奥行・高さ)
- 搬入経路(廊下・エレベーター・階段幅)
- 開口部の高さ・幅
特にマンションでは共用部を経由するため、搬入制限がかかるケースもあります。
戸建て・マンションで異なる注意事項
- 戸建て:梁や柱の位置、基礎構造による制約
- マンション:梁や柱の位置、上下階への影響(配管スペースや防音規定)
寸法が合わない時の対応策
ユニットバスは基本的に規格化されていますが、リフォーム現場では**「規格品がそのまま入らない」**ケースが少なくありません。特に築年数が経った物件では、梁や柱の出っ張り、配管の位置、開口部の形状などが影響し、既存スペースに新しいユニットを収めることが難しい場合があります。
このような場合、次の3つの対応策が考えられます。
1. 規格サイズ調整とオーダー対応
もし既存のスペースに近い規格サイズが見つかれば、壁や床の一部を増設・減築して調整し、標準サイズのユニットを設置する方法があります。
しかし、どうしても特殊な寸法が必要な場合は、メーカーのオーダー対応品を検討します。オーダーユニットは、現場に合わせてサイズをミリ単位で調整できるため、空間を有効活用しながらリニューアルが可能です。
💡 注意点
- オーダー品は通常品より価格が1.2〜1.5倍高くなる
- 納期が長い(通常1〜2ヶ月程度)
- メーカーやシリーズによってオーダー対応可否が異なる
こちらは外部サイトです。オーダーメイドユニットバスの特徴やメリットを詳しく紹介しています。

2. 在来浴室への戻しや造作改修
既存のユニットバスを撤去後、在来浴室(タイル張りの浴室)へ戻す方法もあります。この場合は、
✅ 壁や床の下地を現場に合わせて造作
✅ 防水工事を施しタイル・パネルで仕上げ
といった施工で、間取りや寸法の制約を回避できます。
メリット
- スペースに制約されず、自由度が高い
- デザインの選択肢が増える(タイル・自然素材など)
デメリット
- 防水工事の精度が仕上がりに直結
- 工期が長くなりやすい(目安2週間前後)
- メンテナンス性はユニットバスより劣る
在来工法は高級感や個性を重視する個人宅で採用されることが多い一方、法人物件では工期・メンテナンス面で課題があるため慎重な判断が必要です。
3. 一部改修と再生工事による対応
寸法の制約が大きく、ユニット交換が不可能な場合は、既存ユニットを活かして部分的に補修・美観を回復する選択肢があります。
この場合に有効なのが
- パネル工法(壁・天井を装飾パネルでカバー)
- シート貼り(化粧シートで意匠性アップ)
- 浴室塗装(塗膜形成でリフレッシュ)
これらはユニット全体を入れ替えるよりも低コスト・短工期で済むため、
✅ 賃貸物件の空室対策
✅ 法人施設の営業継続
✅ 個人宅での予算抑制
に適しています。
💡 POINT
部分改修は「防水性能・耐久性」の面でユニット交換に劣ることもあるため、事前に施工業者と現場調査を行い、長期的なコスト比較をしておくことが重要です。
このように、寸法が合わない場合でも複数の対応策があります。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、目的・予算・工期に合わせた最適なプランを選ぶことが成功の鍵です。

入れ替えできない場合に検討する再生工事の選択肢
ユニットバスの交換が寸法や構造の制約で不可能な場合、既存ユニットを活かした「再生工事」が有効な手段になります。
特に以下のようなケースでは、部分的なリフレッシュ工法が重宝されます。
- ✅ 賃貸物件で費用をかけずに短期の空室対策が必要
- ✅ 商業施設やホテルで営業停止期間を最小限にしたい
- ✅ 個人宅で予算を抑えながら美観・機能を回復したい
ここでは代表的な3つの方法を詳しく紹介します。
パネル工法(カバー工法)
パネル工法は、既存の壁面や天井の上から新しい化粧パネルを貼り付ける方法です。
「カバー工法」とも呼ばれ、劣化した表面を新しいパネルで覆い、防水性・断熱性を高めながら見た目も一新できます。
メリット
- 既存ユニットを撤去しないため、短工期(1〜2日程度)
- パネル材によりカビ・汚れが付きにくい防汚性能
- 施工時の騒音やホコリが少なく、営業中の施設でも対応可能
デメリット
- 仕上がりの質は施工業者の技術力に左右されるため、業者選びが重要
- 下地の劣化が激しい場合は、補修が必要になり追加費用が発生
- 機器や設備、配管は現状のまま
弊社の施工例


天井と壁面が腐食している賃貸物件のユニットバスです。
腐食部撤去後、下地の補強などを行い、浴室用の装飾パネルを張りました。
シート貼り(化粧シート施工)
化粧シート貼りは、浴室用の化粧シート(3Mのネオックスや浴室用のサンゲツリアテック)を既存の天井や壁に直接貼り付ける方法です。
床には浴室床用シート(東リ バスナフローレやバスナリアルデザイン)を張ります。
施工が簡易なため、1日で作業が完了し、低コストで浴室の雰囲気を変えられます。

メリット
- 低コスト(約5〜15万円前後)
- 工期が短く、入居中の施工が可能。ホテルの場合は営業停止期間なく施工が可能。
- カラーバリエーションが豊富で、デザイン性が高い
デメリット
- 表面の傷・剥がれに注意
- 下地にひび割れや腐食がある場合は下地にパネルが必要になる
- 仕上がりの質は施工業者の技術力に左右されるため、業者選びが重要
浴室塗装(吹付・塗膜再生)
浴室塗装は、特殊な浴室用塗料を吹き付けでで塗布し、表面を塗膜で再生する工法です。
天井・壁・浴槽・洗い場床に対応可能で、古いユニットバスでも美観を回復できます。


メリット
- 施工費用が比較的安価(約10〜20万円前後)
- 短納期(1〜2日)で施工完了
- 既存設備に直接塗装する工法のため、面倒な解体や廃材処分が不要
デメリット
- 溶剤工事のため、短期間ですが施工中に臭いが生じる点に注意が必要
- 高い技術力が求められる工法のため、信頼できる業者の選定が重要
- パネル・シート施工と異なり、柄物や立体感のあるデザインは再現できない
💡 法人活用例:賃貸アパートの空室対策で、短期的な見た目改善に採用。
3工法の比較まとめ
項目 | パネル工法 | シート貼り | 浴室塗装 |
---|---|---|---|
費用目安 | 10~20万円 | 5〜15万円 | 10〜15万円 |
工期 | 1日 | 1日 | 1〜2日 |
耐用年数 | 約10〜15年 | 約5〜8年 | 約8〜10年 |
デザイン性 | ◎ 高級感あり | ◎ 多彩な色柄 | △ 光沢は出るが無地柄 |
防水・断熱性能 | ◎ 非常に高い | △ 標準的 | △ 標準的 |
どの方法を選ぶべきか
賃貸物件の場合:
👉 低コストで全体を塗装し、短期間で見た目を一新
👉 塗装+シートのハイブリッド施工で、低予算でもワンランク上の仕上がりに
個人の場合:
👉 高級感・長期耐久を求めるならパネル工法
👉 予算重視・短期改善なら塗装・シート貼り
📞 再生工事の事なら、お気軽にお問い合わせください。 👉 お問い合わせページへ
施工事例ページ、料金ページもご覧になってください👇
ユニットバスリフォームの要点まとめ
ユニットバスは規格化されているものの、リフォーム現場では「サイズが合わない」「搬入できない」といった課題が少なくありません。その場合は次の3つの選択肢が有効です。
- 規格調整・オーダー対応:空間に合わせたサイズ調整
- 在来浴室への戻し:自由度が高くデザイン豊富
- 再生工事(パネル・シート・塗装):低コスト・短工期で美観回復
特に法人施設や賃貸物件では、短期間で施工できる再生工事が効果的です。個人宅では、予算や耐久性を考慮して最適な方法を選びましょう。
まずは現地調査と見積もりで、最適なプランを確認することが成功の第一歩です。
よくある質問
A1. 「1216」「1624」などの数字は浴室内寸(幅×奥行m)を示します。メーカーやシリーズによって実際のサイズは多少異なるため、リフォーム前に現地で採寸することが大切です。
A2. 以下の3つの方法があります:
① 規格調整・オーダー対応
② 在来浴室への戻し
③ 再生工事(パネル・シート・塗装) – 特に③の方法は短期・低コストでおすすめです。
A3. 既存ユニットを活かして美観や機能を回復する工法で、主に以下の3種類があります:
・パネル工法(高級感あり/耐久10~15年)
・シート貼り(低コスト・1日施工/耐久5~8年)
・浴室塗装(吹付け塗膜再生/耐久8〜10年)
A4. 短納期でローコストな「塗装」または「塗装+シート貼り」がよく選ばれます。費用効果を求められる賃貸物件に最適です。
A5. 長期耐久と高級感を求めるなら「パネル工法」、費用を抑え短期改善をしたい場合は「塗装」や「シート貼り」がおすすめです。