ユニットバスの壁・浴槽のひび割れ・サビ補修ガイド|素材別対処法と注意点

🛁ユニットバスは一体成型の構造で施工性やコスト面に優れる反面、素材の経年劣化によるサビやひび割れといったトラブルが起きやすいのが現実です。

特に壁や浴槽に発生する微細なひびやサビ膨れは、見た目の問題だけでなく、放置することで漏水や腐食といった深刻な被害へと発展する恐れがあります。

本記事では、ユニットバスに使われる主要素材(塩ビ鋼板、樹脂パネル、FRPなど)ごとの特徴と補修ポイントを整理し、効果的かつコストを抑えた補修の方法を解説します。

法人・個人を問わず、ユニットバスのメンテナンスを検討されている方に、失敗しないための実用的な内容を専門家が説明します。

ユニットバスに使われている主な素材
ユニットバス
金属(塩ビ鋼板)
ユニットバス
樹脂パネル
変色したFRP浴槽
FRP浴槽
人工大理石浴槽
人工大理石浴槽

以下は、素材ごとのリスク比較イメージです

素材主なリスク補修方法の一例
金属(塩ビ鋼板)サビ・膨れサビ除去+パネル+塗装or装飾シート
樹脂パネルひび割れ・変色パテ補修+塗装or装飾シート
FRP浴槽ひび割れ・退色塗装、FRPライニング+塗装
人工大理石ひび割れ・膨れ(ブリスター)塗装、FRPライニング+塗装
目次

補修の適切なタイミングを見極める

ユニットバスの壁や浴槽の劣化は、見た目だけではなく安全性や衛生面にも影響を与えるため、早めの対応が重要です。
よく見ないとわからないような細かいひび割れやサビの膨れもあるので、じっくり確認してください。

サビの膨れ・腐食を放置するとどうなる?

ユニットバスの塩ビ鋼板の場合、壁面の下部がサビで膨れてきます。
これは、表面からの浸水ではなく結露によって、裏側に水滴が発生して裏側からサビが進行してくるケースがほとんどです。

サビが進行すると、金属素材が膨らみ、最終的には壁材の剥がれや穴あきの原因になります。
穴があいてしまうと、表面からも水分が浸入するので、構造材の腐食やカビの繁殖リスクも高まり、集合住宅の場合階下への漏水リスクも高まります。

サビで腐食したユニットバス
サビで腐食したユニットバス

腐食が進むとこのような状態になってしまう事もあります。
ここまで進むと階下への漏水リスクは非常に高いです。

🕵️‍♂️ ひび割れや割れが進行する前に確認すべきポイント

目視では見落としがちな小さなひび割れも、放置することで広がりやすくなります。以下のポイントを定期的に確認しましょう

  • 浴槽の底や縁に細かい線が入っていないか
  • 壁面パネルのつなぎ目に浮きや隙間がないか
  • シーリング部分の割れや剥がれ
ひび割れている浴槽
FRPに発生した細かいクラック(ひび割れ)

これらの兆候を見つけた時点で補修を行うことで、大規模な工事を避け、コストも抑えられます。

ユニットバスの壁素材別の特徴と対処法

🎯素材によって補修方法が異なるため、それぞれの特性を理解することが重要です。
下記の表で主な特徴を確認しましょう。

素材特徴劣化傾向
金属(塩ビ鋼板)耐久性が高いがサビやすい表面膨れ・腐食
樹脂パネル軽量・施工が簡単衝撃に弱くひび割れが発生しやすい
FRP成型が自由でカラーバリエーションも豊富退色・ひび割れ

金属(塩ビ鋼板)壁のサビと膨らみへの対応

塩ビ鋼板は耐水性が高い一方で、先述したように裏側からのサビに弱く、また設備取付のビス穴や表面が傷つくとサビが広がりやすくなります。
サビが発生した場合は、サビ部分の除去とパネルによる補修が必要です。

壁面下部だけがサビてくるケースがほとんどなので、下側だけ巾木のようにパネルを張るとコストを抑える事ができます。

樹脂製パネル壁の耐久性とひび割れ事情

樹脂系の壁材は軽量で施工が容易ですが、経年劣化や衝撃でひび割れが発生します。
軽度であれば塗装での補修も可能ですが、重度の場合は塗装では施しようがなく全面的にパネルを張る事になります。

🛁浴槽素材(FRP・人工大理石)の割れリスク

ユニットバスの浴槽には様々な素材が使われていますが、それぞれに異なる強みと弱点があります。割れやすさ、補修のしやすさも素材によって大きく異なります。

📌 素材別の特徴とリスク

  • FRP(繊維強化プラスチック):軽量で安価だが、表面が割れやすい。
  • 人工大理石:重厚感のあるツヤが美しく加工性も高いが、衝撃に弱い。
ひび割れたFRP浴槽
ひび割れたFRP浴槽

ひび割れてしまっているFRP浴槽。

🛠️ ひび割れ補修の基本ステップ

  • ひび割れ箇所の清掃研磨と乾燥
  • ポリエステル樹脂とガラス繊維でFRPライニング補修後、研磨で平滑処理
  • 塗装・コーティング仕上げ

補修時のポイント
ひび割れがある場合は、パテ補修ではまた割れてしまうのでFRPライニングなどの補強工法が必要です。FRPライニングは専門業者への依頼が安心です。

ひび割れている浴槽
ひび割れしています
ひび割れ補修している浴槽
FRPライニング中
ひび割れを補修したFRP浴槽
補修完了

壁のサビや膨れの補修方法

ユニットバスの壁に発生するサビや膨れは、早期の対応が耐久性を保つカギとなります。

早期の対応だと、補修も容易で費用もそんなにかかりません。
ほったらかしておくと、補修費用が高額になるケースもあるので、早いうちに専門の業者に相談してください。

サビ除去と巾木施工

サビが浮き出た部分は、完全に除去しなければ再発の原因になります。ワイヤーブラシやサンダーを使用してサビ部分を撤去していきます。

除去した部分は穴が開いてしまうので、バックアップとして断熱材を充填します。

巾木のように、塩ビ製のパネルを張り付けます。表面の仕上げは塗装もしくは装飾シートで行います。
浴槽や洗い場も塗装する場合は塗装、壁面下部のみの施工であれば装飾シートで仕上げます。

壁面下部のサビ補修施工例

壁面下部がサビているユニットバス
施工前
サビ補修・塗装したユニットバス
施工後

壁面下部がサビで膨れてきているユニットバスです。サビを処理してパネルを張って塗装しました。
塗装と組み合わせる事により、一体感が生まれ違和感なく仕上がっています。

浴槽・床のひび割れ補修技術

浴槽や床に生じたひび割れは放置すると水漏れや下地腐食につながるため、早期の補修が必要です。
放っておくとひび割れはどんどん進行していきます。

FRPライニングとは何か:適応範囲と施工費用

FRPライニングとは、ガラス繊維にポリエステル樹脂を含浸させてFRP層を形成する工法です。

浴槽や洗い場床の細かいひび割れはもとより、大きなひび割れや完全に割れている状態でも補修が可能です。

💰 費用の目安

補修内容費用目安対象
FRPライニング補修3〜7万円程度ヘアークラック等細かいひび割れ
FRPライニング補強4~12万円程度大きなひび割れ、完全な割れ
FRPライニングに使うガラス繊維
ガラス繊維
FRPライニングの資材
ポリエステル樹脂とローラー、刷毛

パテによる補修

ひび割れ補修には使用しませんが、傷・穴・カケ等はパテで補修可能です。

浴槽内を補修する場合は2液性のエポキシパテを使用します。FRPライニングの不陸調整にも重宝します。

ひび割れを補修している浴槽
ひび割れをFRPライニングで補修
ひび割れを補修している浴槽
FRPライニングの不陸をエポキシパテで補修

DIY vs プロ依頼|どちらが合う?

ユニットバスの補修は、内容によってDIYでも対応可能な場合がありますが、素材や劣化状態によってはプロに任せる方が安全かつ長持ちします。

DIYでできる作業と限界

簡単なパテ補修やシーリングの打ち替えなど、範囲が狭く浅い劣化にはDIYが向いています。
以下、ホームセンターで買える材料で簡単に作業できる内容を説明します。

🔧 可能な作業

  • 小さい穴やカケ・・・エポキシパテ水中用等の耐水性のあるパテで補修
  • コーキングの再施工・・・バスコーク等、シリコンコーキングで補修

プロに依頼すべきケースとは?

以下のような場合は、専門知識と工具が必要なためプロの介入が安心です。

📌 依頼すべきケース

  • 壁面にサビが発生している
  • 浴槽や洗い場床に細かいひび割れがある
  • 浴槽が割れてしまった

📋 施工会社選びのチェックリスト

✅ 信頼できる業者に依頼するために、以下のポイントを確認しましょう。

  • 施工実績・経験が豊富か
  • 浴槽専用の塗料を使用しているか
  • 補修がある場合、見積りの明細に補修の内容が記載されているか
  • 保証内容の有無と期間
  • 適正金額内か
  • 電話・メールの対応はきっちりしているか

施工実績や経験はHPやSNSの投稿、施工例を見れば大体わかります。
浴槽専用の塗料の使用や保証内容はHPのチェックと共に問い合わせの際にしっかりと確認してください。

価格はHP掲載の価格で判断する事なく、現地調査をしてもらって正式な見積書を提出してもらってください。
高すぎるのも問題ですが、あまりに安すぎる場合も注意が必要です。

電話・メールでの対応も重要です。ここでの対応が悪い業者は何かとトラブルになる可能性が高いです。

費用と期間感の相場目安

ユニットバスの補修には、症状や範囲によって大きく異なる費用が発生します。ここでは一般的な目安とよくある補修の費用感を紹介します。

補修内容費用目安備考
壁面下部の巾木補修4~8万円1面のみ、や壁面下部全面に対応
浴槽のひび割れ補修+塗装10〜15万円FRPライニングと浴槽塗装
洗い場床のシート施工5〜8万円浴室床用シート施工
(バスナフローレ等)

全面リフォームとの費用・期間差

🆚 補修と全面リフォーム(ユニットバス入れ替え)では、予算も施工日数も大きく異なります。

項目補修対応全面リフォーム
費用相場3〜15万円程度50〜100万円以上
工期半日〜2日程度5〜1週間間以上
対応範囲部分的(ピンポイント)全体の交換・刷新

📌 リフォームでは設備更新・機能追加ができる一方、費用や工期の負担が大きくなります。

コストを抑える補修計画の工夫

賢く補修を進めるためには、早期発見と複数箇所の同時対応がポイントです。

節約の工夫のポイントを見ていきましょう。

劣化が軽いうちに補修する

ユニットバスの壁や浴槽にひび割れやサビなどの初期兆候が見られた段階で早めに対処しましょう。
劣化が進行する前に補修することで、以下のようなメリットがあります。

  • 補修範囲が小さく済み、費用を抑えられる
  • 工期も短くなり、利用中止の影響が軽減される
  • 水漏れやカビ、腐食などの重大なトラブルを未然に防げる

つまり「早期発見・早期補修」が、コストパフォーマンスを高めるポイントです。

材料・工法を提案してもらう

現場調査・見積り時に、気になる事や希望を施工業者伝えて最適な方法を提案してもらいましょう。

経験豊富な業者であれば、コストカットのノウハウも豊富です。良心的な業者であれば予算に応じたプランを提案をしてくれるので、気になる事はどんどん質問してください。

セットプランを活用する

例えば、壁面下部の補修を依頼する場合でも浴槽と洗い場床の塗装をまとめて依頼すれば、単体で依頼するよりも作業工程や人件費の兼ね合いでセット割引してくれる業者もあります。

予算に応じてにはなりますが、見た目の統一感や劣化の保護目的の意味合いでもお得になる場合があります。

補修後のメンテナンス方法

補修を行った後も、日常的なメンテナンスを行うことで、再発を防ぎ長くきれいな状態を保つことができます。

再発防止に効果的な掃除・換気・使用上の注意

補修後の耐久性を保つには、使用環境を整えることが重要です。

✅ 実践したいポイント:

  • 入浴後は必ず換気を徹底(換気扇+窓開け)
  • 中性洗剤やわらかいスポンジで定期清掃(硬いスポンジやメラミンクリーナーは素材を痛めます)
  • ヘアピン等金属製品を置きっぱなしにしない。(金属がサビて浴室にもらいサビが発生します)
  • 重たいものを浴槽に落とさない

長持ちさせるためのお手入れ製品の選び方

製品カテゴリ用途使用タイミング
防カビ剤 ※必ず換気して下さい 壁面・天井のカビ予防月1回
中性洗剤とやわらかいスポンジ浴室内の汚れ落とし浴槽は毎日、その他は週1回程度
コーキング補修材軽度のすき間補修定期点検時

🛒 ドラッグストアやホームセンターで入手可能な製品も多く、誰でも手軽にメンテナンスできます。

実際の施工例

サビ膨れ→1面パネル補修

壁面下部がサビているユニットバス
パネルで補修したユニットバス
内容壁1面 装飾パネル施工
施工場所大阪市中央区
施工前の状態壁面下部の腐食が進行して、壁に強度がなくなっている
対処法壁面下部の巾木補修だけでは、強度が取れないので壁全体を補強後、壁1面に装飾パネルを施工

FRPライニング+塗装で浴槽再生

ひび割れているFRP浴槽
浴槽内がひび割れています
FRPライニングで補修している浴槽
FRPライニング補修
塗装したFRP浴槽
塗装後
塗装したFRP浴槽
完成!
内容FRP浴槽のひび割れ補修と塗装
施工場所大阪府守口市
施工前の状態浴槽内にひび割れ発生
対処法浴槽底面以外を全てFRPライニング補修後、塗装

塗装剥がれ→劣化した塗膜を剥がして再塗装

剥がれているカラーステンレス浴槽
剥がれているカラーステンレス浴槽
塗装したカラーステンレス浴槽
剥がして塗りなおしました
内容カラーステンレス浴槽の補修
施工場所大阪府東大阪市
施工前の状態既存の塗膜が剥がれている
対処法塗膜を全て剥がして、ステンレス浴槽用塗料で塗装

まとめ:コスパ良く安全に補修するポイント

ユニットバスの壁や浴槽は、素材や劣化状態によって適切な補修方法が異なります。

本記事では、サビやひび割れに対する素材別の対処法、DIYとプロ依頼の判断基準、費用相場、施工事例などを紹介しました。

補修成功のための3つのポイント

  1. 🕵️‍♀️ 早期発見・早期対応:劣化を放置せず、小さな段階で補修することでコスト削減と工期短縮が可能です。
  2. 🧑‍🔧 適材適所の補修方法:サビ・ひび割れに最適な工法を選択し、必要に応じてプロに依頼する判断も重要です。
  3. 🛡️ 補修後のメンテナンス:定期点検・換気・防カビ対策で補修効果を長持ちさせましょう。

補修+予防+メンテナンスメンテナンスの三位一体で、ユニットバスを長く快適に使い続けることができます。

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✅ よくある質問(FAQ)

Q1. ユニットバスのサビやひび割れはDIYで完全に直せますか?
A1. 軽度のサビや浅いひび割れはDIYで補修出来なくもないですが、下地処理や防水処理が不十分だと再発しやすいため、プロに依頼するのが安心です。

Q2. ユニットバス補修の費用相場はどれくらいですか?
A2. 部分的な補修は4万円程度~、FRPライニングなどの全面補修は10〜15万円程度が一般的です。劣化範囲や施工内容により変動します。

Q3. 補修工事にかかる時間はどのくらいですか?
A3. 小規模な部分補修なら半日〜1日、浴槽全体のFRPライニングは2日が目安です。工事中は浴室が使えません。

Q4. 補修後の耐用年数はどれくらいですか?
A4. 適切な施工とメンテナンスを行えば、部分補修でも5〜10年程度、FRPライニングなら10年以上の耐久性が期待できます。

Q5. 賃貸物件でもユニットバスの補修は可能ですか?
A5. はい、賃貸でも可能です。管理会社やオーナーと相談の上、原状回復義務に沿った方法で施工できます。

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担当スタッフが丁寧にご案内いたします。

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この記事を書いた人

株式会社ビューティーメイク 代表取締役
水廻り再生リフォーム歴32年

日々、浴室・浴槽塗装、キッチン塗装等、パネル・シート施工等、水廻りの再生リフォームを研究しております。
少しでも皆様に再生リフォームを知っていただく為、わかりやすくお役に立てる記事を書いていきます。
水廻り再生リフォームに、ご不安やご不明な点、ご質問があれば
お気軽にご相談下さい。

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