浴槽って塗装できるの?
そう考えている人は多いと思います。今回はFRP浴槽の塗装手順を施工事例を交えながら徹底解説していきます。
FRP浴槽は塗装出来るのか?
剥がれないのか?
そういった疑問にお答えする為、絶対に剥がれないFRP浴槽の塗装方法を手順を追って解説します
FRP浴槽塗装とは?

FRP浴槽とは
ユニットバス等で多く使用されているFRP浴槽。FRP浴槽とは繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)の略で、樹脂とガラス繊維等で構成している材質を使用した浴槽の事です。
交換との違い
FRPは船舶等でも使用されていて耐久性にも優れる材質ですが、毎日使用すれば当然汚れ・色褪せ等は起こってきます。
毎日入浴する所なので、汚れ等は気になりますが交換となると高額なので躊躇しますよね、、
そこで、交換よりもぐ~んと安価な塗装で綺麗にしましょう!
と言うのが、浴槽塗装です。
浴槽塗装は剥がれないのか?
綺麗になるのは良いが、剥がれないのか?どれぐらい持つのか?
お問い合わせをいただいた際に、ほとんどのお客様に質問されます。
せっかく綺麗になっても、すぐに剥がれてしまうようでは意味がありません。
絶対に剥がれない、仕上がりにもこだわったFRP浴槽の塗装方法の全てを徹底解説していきます!


FRP浴槽の下地処理
まずは、下地処理。
この工程が一番時間と労力が掛かります。
ここで手を抜いてしまうと、いくら綺麗に塗装しても無駄になるので徹底した下地処理を行います!
5つのポイントに分けて説明して行きます。
清掃
まずは、清掃からです。
皮脂汚れ、石鹸カス、カビ等浴槽には色々な汚れが付着しています。
通常の清掃であれば、傷を付けないように柔らかいスポンジと中性洗剤等で清掃しますが
今回は塗装の下地作りなので、研磨剤が入っている足付け洗浄剤と不織布研磨剤で洗浄します。
ここをしっかりやっておくと、後のサンディングが楽になります。
足付け
足付けとは、塗料がしっかりと密着するように被塗面に細かい傷を付けて被塗面の面積を広げる事をいいます。FRP浴槽の足付けには、サンドペーパー(紙やすり)を使用します。
ペーパーは#180とか#1000といったように、番手があります。数字が少ないほうが目が荒いペーパーです。
荒いペーパーの方が削れますが、後述するように削れれば良いという訳でもありません。

FRP浴槽の下地処理の場合、#220~#320番を使用して表面を削って行きます。
荒い番手で削ってしまうと、削りすぎたり、塗装をした際に削った目が出てしまうので、#220~#320番辺りを使用して注意深く削ります。
手で全て削るのは大変なので、大まかな範囲は機械を使って削ります。
水研ぎと空研ぎを併用しますが、機械の場合は空研ぎする方が研磨状態を確認しやすいので吸塵機を使用しています。
浴槽の底面には、ノンスリップ(滑らないように加工された凸凹)加工されている物もあります。
ここは機械で削りすぎると凸凹が無くなってしまうので、細部を削れるスリットが入っているペーパーを使用します。

洗浄
足付けが完了すれば、水で浴槽を綺麗に流していきます。
水を掛けるだけでは、研磨カスが完全に落ちないので
マイクロファイバークロスで擦りながら、水で流します。
水で流すと乾燥が大変になりますが、拭き取りだと研磨カス等が残りやすい為、ここは水でしっかりと流します。
乾燥
洗浄が終われば、乾燥です。水気があると塗装が上手く密着せず、施工不良の原因になるので温風を当てて、完全に乾かします。
追い焚き口や排水金具廻りは、後から水が出てくる事がある為、特に念入りに乾かします。
確認
乾燥後は、ライトを色々な角度から当てて足付けの甘い所がないか、削りすぎてペーパー目が出ていないか等をしっかり確認します。
確認が出来れば、下地処理は完了です!
ここまで、下地処理について解説しました。大変な作業ですが、ここで手を抜くと施工後の剥がれに必ず繋がってしまうので、確認までしっかりと行います。
塗装工程
いよいよ、塗装工程に入ります。ここでは、下準備も塗装工程に含めているのでポイントは5つです。
養生
下地処理が完了すれば、養生作業に入ります。ここで言う養生とは、塗装しない箇所をテープやビニールで覆う事です。
浴槽の中の金具、排水口はマスキングテープで、天井や壁面はテープにビニールが付いたビニールマスカーを使用して養生していきます。
洗い場の床は、ビニールマスカーだと踏んだりすると破れるので、厚めのノンスリップシートを張ります。
塗装は吹付けで行うので、浴室外にもミスト(吹き付け塗装の際、付着しないで飛散する霧状になった塗料)が飛散するので、脱衣場もしっかり養生します。

脱脂
塗装する時に、被塗物に手の脂の油分があると密着不良や塗料を弾いてしまって仕上がりが悪くなるので、溶剤を使ってしっかりと脱脂作業を行います。
清掃
早く塗装したい気持ちを抑えて、念入りに清掃します。
ここを怠ると、異物によるハジキが出たり異物感で仕上がりが悪くなります。
刷毛と掃除機を使って、清掃後はタッククロス(不織布に粘着物質が付いたゴミや埃を取るクロス)で念入りに拭き取ります。
塗装
塗装は吹付けで行います。吹付けは浴槽の塗装に適しているHVLPガンを使用します。
HVLPとは、High-Volume,Low-Pressureの略で、低圧の空気を大量に使用して塗料を霧化する方式です。
通常の高圧スプレーに比べると、塗着効率が良くロスが少ない塗装方式です。
その分霧化した粒子が高圧よりも荒く、塗り肌が悪くなると言われていますが、シンナーの調整と塗り方次第で綺麗な塗り肌で塗装する事が可能です。
塗装の機材・排気ダクトをセットしたら、いよいよ塗装に入ります!
下塗り
浴槽塗装でのプライマーは
- 密着性を高める為
- 仕上がりを良くする為
に使用します。
弊社が使用している浴槽用の塗料はFRPとの相性が良く、下地処理がきっちり出来ていれば密着性を高めるプライマーは必要ありませんが、仕上がりを良くする為に、状況に応じて浸透型プライマー、薄塗りプライマー、厚塗りプライマーを使用します。
特に、傷が多かったり、FRPの繊維が毛羽立っている場合は厚塗りプライマー必須です。
いずれのプライマーも、塗装後はしっかり乾燥させて、表面を#400~600番程度のペーパーで表面を整えます。
上塗り
上塗りは、FRP浴槽用のウレタン樹脂塗料を吹き付けます。
温水に強く、長時間のため湯でも色が抜けない浴槽用の塗料を使用します。
一度に多く吹き付けるのではなく、薄く塗って指触乾燥(塗膜表面を指先で柔らかく押さえて塗料が指先につかなくなった状態)してから、塗り重ねて行きます。
4~5回塗り重ねて、ムラ無く綺麗に塗装が出来ている状態を確認して、仕上げの吹付けを行います。
仕上げの吹付けは塗料がタレないように気を付けながら、光沢が出るようにしっかり吹き付けます。
塗装中の浴室はミスト(霧化した塗料)で良く見えないので、感覚を頼りに吹き付ける事になります。
その為、塗装完了後はすぐにライトを当てて塗装状態をくまなく確認して、問題無ければ乾燥工程に入ります。

乾燥
塗装が完了したら、乾燥させます。
自然乾燥だと、季節にもよりますが5~10時間程度掛かってしまうので、ヒーターを当てて強制的に乾燥させます。
ヒーター等を上手く使うと、1時間程度で仕上げが出来る程度になります。
仕上げ
乾燥後は仕上げ工程に入ります。
仕上げとは、塗装時に付いた細かい異物を除去する工程です。
塗装で光沢はしっかり出ているので、光沢を出す目的ではありません。
綺麗な塗膜が形成されているので、あまり表面は削りたくありませんが、現場での施工なのでどうしても異物は付着します。#2000~#3000程度のペーパーで異物の表面を処理して、ウレタン製のバフと超微粒子コンパウンド、仕上げ用のコンパウンドでバフ掛けして完了です!

まとめ
今回の記事では絶対に剥がれないFRP浴槽の塗装法を解説しました。
的確で丁寧な下地処理と適切な塗料を使用すれば、絶対に剥がれない施工は可能です。
もちろん、お湯貯め、追い焚きも全く問題はありません。
交換よりもお得な浴槽塗装を是非ご検討下さい!
