頑丈に見える浴槽。まさか割れる事があるなんで思いもしませんよね。
しかし、以外に多いんです。水が入ってない状態で物を落とした、子どもさんが飛び跳ねて遊んでたら割れてしまった。入浴時に伸びをする為に足を突っ張ったら割れた。
このようなお問い合わせを非常に多くいただきます。
浴槽が割れた場合は、交換するしかないとお考えだと思いますが、
大丈夫です！完全に割れてしまった浴槽でも補修＆塗装をすれば完全に直ります。
今回は施工事例を元に、完全に直す方法を解説していきます。
ひび割れの種類
ひび割れと一口に言っても、色々なひび割れがあります。
まずは、ひび割れの種類を説明します。
・表層（トップコートやゲルコート）がひび割れているヘアークラック。
・ヘアークラックが進行して、FRP繊維にまで浸水しているクラック。
・衝撃等で完全に割れているひび割れ。
それぞれについて、見ていきましょう
表層（ゲルコート）がひび割れているヘアークラック。
ヘアークラックとは、髪の毛が付いたように見える細かいひび割れです。
FRP浴槽は金型にゲルコートを吹き付け、その型にガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂を含浸させた物を積層して成形されています（ハンドレイアップ成形といいます）。
そのゲルコート部分のみに、髪の毛程度に発生しているクラックをヘアークラックといいます。
まだ初期段階なので、補修も容易でこの時点で補修すれば費用はそんなに必要ありません。
FRP浴槽は他に、不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維をシート状にしたものを、プレスして成形するSMC成形（sheet molding compound）が多く使われていますが、SMCの場合は滅多にヘアークラックは発生しません。
ヘアークラックが進行して、FRP繊維にまで浸水しているクラック。
ヘアークラックを放置しておくと、FRP繊維まで含水してしまい、FRP繊維がひび割れてきます。
この状態になると、漏水する可能性が高いので補修が必要です。
浴槽が漏水すると、2次被害も発生して大変な事になるので、早急に専門業者に相談して下さい。
衝撃等で完全に割れているひび割れ。
最後は完全に割れているひび割れです。この割れ方はSMCや人工大理石浴槽に多いひび割れ方です。
表面が硬い分、衝撃・荷重により大きく割れてしまいます。
この状態になると、非常に困ります。
ひび割れているので、浴槽には水は張れませんので浴槽は使えなくなります。
ユニットバスの場合はほとんどの場合で、浴槽だけの交換は不可能です。
かといって、ユニットバス全体の交換は費用が高額なので躊躇しますよね。
その問題を解決できるのが、浴槽塗装です。
今回は、完全に割れている人工大理石浴槽を補修していきます！
ひび割れ状態の確認
浴槽を良く確認すると、底面に大きくひび割れているのが確認出来ると思います。
ランドリーパイプを落としてしまって、ひび割れてしまったとの事。
ランドリーパイプのようなそんなに重くない物でも、当たってしまう角度が悪いとこのように簡単にひび割れます。
ひび割れの状態も確認して、補修方法は決定しました。
次は下地処理です。
下地処理
まずは、機械を使って浴槽を削って行きます。
削る事により表面積が増えて、FRP樹脂と浴槽との密着力を高めます。
ひび割れの段差も、ここで出来るだけ削って段差を無くしておきます。
ここでは、FRPライニング補修する箇所とその廻りを削ります。
ここは重要な作業です。大変なので、ついつい手を抜きがちですが、ここで手を抜いてしまうと必ず施工後に問題が起きます。確認用のライト等を使用して、徹底的に処理します。
FRPライニング
FRPライニングとは、ひび割れている箇所をFRPで覆う補修方法です。
不飽和ポリエステル樹脂とパーメック（硬化剤）、ロービングクロス、チョップドストランドマット、ガラスクロス等のガラス繊維を含浸させてFRPを作成して行きます。
ガラス繊維の組み合わせ、順番で強度が変わってくるので、しっかり強度が出るように組み合わせていきます。
裁断
ガラス繊維をひび割れ箇所に合わせて、裁断して行きます。
ひび割れ箇所よりも、大きめに裁断します。
特に、ひび割れが走っている方向は今後も割れやすいので注意が必要です。
含浸・積層
ひび割れ箇所に不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維を含浸したものを、積層して行きます。
積層する時に空気が入ると、その箇所が空洞になり強度が弱くなるので、脱泡ローラーでしっかり脱泡します。
この工程はひび割れの状態により、2～3回繰り返し行います。
研磨
積層が完了したFRP表面は凸凹なので、削って滑らかにして行きます。FRPライニングしていない箇所と積層した分の段差があるので、段差処理もしっかり削ります。
この時にひび割れていない箇所もしっかりと下地処理を行います。
パテ処理
細かい凸凹、ピンホール等を補修する為にエポキシパテで表面を整えます。
必要に応じて、ミルドファイバー（ガラス繊維を細かく粉砕した物）を混合します。
ミルドファイバーを混合する事により、厚みを持たせる事や強度を上げる事が出来ます。
養生
塗装しない箇所に塗料が付着するのを防ぐ為、テープ等で漏れなく覆っていきます。
吹付けでの塗装なので、浴室全体と脱衣所をきっちり養生します。
塗装
準備
塗装機や排気ダクトを準備して、塗料を配合します。
浴槽は脱脂を徹底的に施します。
プライマー施工
FRPライニング箇所に浸透型プライマー、全体に人工大理石浴槽用のプライマーを吹き付けます。
人工大理石浴槽はFRP浴槽よりも塗料の密着を取るのが難しく、最適なプライマーを使用しないと、剥離の原因になります。
弊社では、アクリル系・ポリエステル系に対応している最適なプライマーを使用しています。
トップコート
いよいよトップコートです！
浴槽専用のポリウレタン樹脂塗料を吹き付けていきます。
最初は薄く何度も塗り重ね、最後にタレや流れないように光沢が出るよう厚く吹き付けます。
ここは職人の腕の見せ所になります。
吹き終わりでムラ無く、しっかりと光沢が出ていればOKです。
仕上げ
異物が付着しないように、細心の注意を払いながら塗装しましたが、現場での施工になる為どうしても異物は付着します。その異物を処理する為、細かい目のサンドペーパーを使って異物を削って行きます。
異物処理が終われば、全体的にコンパウンドを掛けて磨いて完了です。
まとめ
このように、ひび割れている浴槽も補修は可能です。
今回のようなユニットバスの浴槽が割れた場合、浴槽だけの交換はほとんどの場合が不可能で、ユニットバスを交換しなければなりません。
補修と塗装を上手く利用すれば、コストを大幅に抑えて浴槽を蘇らせる事が出来ます。
浴室・浴槽でお困りの事がありましたら、是非とも弊社にご相談下さい。
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